2019年6月16日 (日)

『さよならくちびる』のうまさを楽しむ

塩田明彦監督の『さよならくちびる』を劇場で見た。友人たちの間で賛否両論だったから。私の一番の感想は、「うまいなあ」というもの。もともとこの監督は、作り込みというか仕立てが巧みだが、今回はドキュメンタリー風に撮っているからなおさらそれを感じた。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月15日 (土)

「松方コレクション展」の静かな感動

「松方コレクション」といえば、上野の国立西洋美術館が所蔵する西洋美術の中核をなす所蔵品である。その西美で企画展として「松方コレクション展」を開くとはどういうことかと普通は思うだろう。いつも常設展で見られるのに、と。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月14日 (金)

『エリカ38』の浅田美代子に震撼する

私の世代にとって、浅田美代子はかつてとびきりのアイドル「美代ちゃん」だった。同時期の南沙織などとは違って今も一応芸能活動をしているが、公開中の日比遊一監督『エリカ38』を見て震撼した。実際に60歳を少し過ぎた彼女のリアルが伝わって来たから。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月13日 (木)

並ぶのが好きな若者たち

学生たちを見ていて思うのは、10年前と比べても、おとなしくなったということ。文句を言わず、波を立てない。典型的なのは、みんなよく並ぶことだ。例えば、授業の前に教室の入口にプリントを置いて、ばらばらと入ってくる約200人の学生にそれを取って席につけと指示する。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月12日 (水)

『誰もがそれを知っている』の闇

アスガー・ファルハディ監督の新作『誰もがそれを知っている』を劇場で見た。普通どんな巨匠でも外国で撮るとどこかおかしくなるが、このイランの監督は、フランスで撮影した『ある過去の行方』(2013)が実にフランス的な傑作だった。さてスペインではどうなるか。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月11日 (火)

『日本統治下の朝鮮シネマ群像』の衝撃:その(2)

この本から私は日本統治下の朝鮮映画について実に多くのことを学んだ。1930年代から1943年頃までの朝鮮映画を見て現代の我々が一番驚くのは、韓国語がふんだんに使われていることではないだろうか。この本は今井正監督『望楼の決死隊』(1943)から始まるが、まずその言語のミステリーを解く。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月10日 (月)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のド派手な戦い

日本を扱った外国映画は私が関心を持つテーマの一つなので、できるだけ見ることにしている。今回の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』にはそれ以外にも見たいと思う要因があった。何と「モスラ」が出るというではないか。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 9日 (日)

参加型の展覧会は苦手

「チームラボ」に今一つ没入できなかったのは、たぶん私が「参加型」が苦手だからだと思う。私にとって美術はあくまで離れてみるのであって、触ったり靴を脱いだり、見る者の行動を必要とするのは好きではない。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 8日 (土)

映画館で公開されない外国映画には理由がある

私は昔から日本未公開の外国映画を見るのが好きだった。「日本では公開されてない傑作をパリで見たよ」と言うとカッコよかったから。私が学生の頃は日本公開の外国映画は年に200本前後だったから、確かに公開されない名作は多かった。ところが今では約600本を劇場公開しているし、衛星放送や配信を加えたらもっと増える。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 7日 (金)

原武史『平成の終焉』が見せる行幸啓の真実

原武史の天皇制をめぐる本や発言についてはここで何度も書いたが、この3月に出た新書『平成の終焉―退位と天皇・皇后』を本屋でめくると行幸啓(天皇・皇后の旅行を指す)をめぐって興味深い記述があったので買った。彼の本はいつも的確でわかりやすい。そのうえ鉄道オタクなので、列車にはくわしい。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 6日 (木)

『僕はイエス様が嫌い』の計算された直球

奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』をようやく劇場で見た。去年のサン・セバスチャン映画祭で最優秀新人賞を22歳の最年少で受賞し、その後も海外の複数の映画祭で受賞し、東京フィルメックスでも話題になったので、期待していた。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 5日 (水)

チームラボを見る

最近、「チームラボ」という名前をよく聞く。最近はその代表の人物が「アエラ」の表紙にもなっていたが、要は光と音と映像を使ったインスタレーションを作る集団だ。1年ほど前に豊洲とお台場で常設の会場ができたし、去年のフランスの日本年ではパリでも展示をしていた。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 4日 (火)

『田園の守り人たち』:これこそ映画だ

7月6日公開のグザヴィエ・ボーヴォア監督『田園の守り人たち』を見た。第一次世界大戦中のフランスの田舎を舞台にした、一見地味な映画だ。ところが見ているとだんだんと、「これこそ映画だ」と言いたくなるほど、どこを切っても映画らしい魅力に満ちている。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 3日 (月)

昼ご飯がもたれる

私はかつて大食いだった。30代後半の時に毎年体重が増えていることがわかった。血圧やコレステロール値も危なくなったので、少しだけ食事を減らした。少なくともどんぶりご飯のお代わりはやめたし、飲んだ後のラーメンも遠慮した。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 2日 (日)

『日本統治下の朝鮮シネマ群像』の衝撃:その(1)

出たばかりの下川正晴著『日本統治下の朝鮮シネマ群像 《戦争と近代の同時代史》』を読んだ。下川さんは昨年末に私のゼミ学生が企画した映画祭「朝鮮半島と私たち」に観客として来られて、声をかけられた。すぐに意気投合して飲みに行ったが、戦前の朝鮮映画の知識に圧倒された記憶がある。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年6月 1日 (土)

プラスチックごみをどうする

日本のプラスチックごみが大変なことになっているようだ。2017年末に中国が外国からのプラスチックごみの引き取りを中止してから東南アジアに流れていたが、マレーシアなど各地で受け入れ拒否が始まったという。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月31日 (金)

『凪待ち』の懐かしさ

6月28日公開の白石和彌監督『凪待ち』を試写で見た。この監督は、映画によってかなりタッチを変える。『麻雀放浪記2020』でふざけまくった後に、今回は香取慎吾主演でどう出るか興味深々だった。結果は「またやってくれましたねえ」という感じ。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月30日 (木)

展覧会をめぐる本:その(4)

去年の8月に出版記念パーティーに出てから読んでいなかったのが、若林覚氏の『私の美術漫歩 広告からアートへ、民から官へ』。この題名は、若林氏がサントリーの宣伝部長から文化事業部長、そしてサントリー美術館の副館長になって、その後昨年夏まで練馬区立美術館の館長を務めた経歴をそのまま示す。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月29日 (水)

『ペトラは静かに対峙する』の迷宮世界

6月29日公開の『ペトラは静かに対峙する』を見た。監督はスペインの1970年生まれのハイメ・ロサレスで、長編6作品のうち5本がカンヌに出ているが日本での劇場公開は初めてという。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月28日 (火)

『美と破壊の女王 京マチ子』を読む

北村匡平著『美と破壊の女王 京マチ子』を読んだ。この筆者は2年前に『スター女優の社会学』を読んで驚嘆したが、もう新たな本を書くとは若いのに偉い、というのが読む前のおじさんの印象。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月27日 (月)

この気持ちよさのウラには

ゴールデンウイーク明けくらいから、実に気持ちのいい気候が続いている。暑くもなく、寒くもなく、風も日光も心地よい。特に午前中は自宅の部屋にいると、天国のような気がしてくる。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月26日 (日)

また『アマンダと僕』を見る

夏のパリが好きだ。涼しくて空気が乾いていて、日差しが優しく、青葉が目に沁みる。3年前は3月から9月までいたが、ちょうどカンヌが終わった今頃から9月半ばまでが、最高気温が20度から25度くらいで気持ちのいい夏だった。そんなことを考えていたら、6月22日公開のミカエル・アース監督『アマンダと僕』をまた見たくなり、試写に行った。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月25日 (土)

『ラファエル前派の軌跡』展で学ぶ

6月9日まで三菱一号館美術館で開催の「ラファエル前派の軌跡」展を見た。この美術館ではラファエル前派の代表的画家である「バーン=ジョーンズ展」も見たし、その後の耽美な展開をたどった「ザ・ビューティフル」展も見たので、最初は見るのをどうしようかと考えていた。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月24日 (金)

『コールド・ウォー』の恋愛劇

腐れ縁というか、何十年たってもえんえんと続く恋愛がある。自分は経験したことはないが、映画だと成瀬巳喜男監督『浮雲』(1955)とか吉田喜重監督『秋津温泉』(1962)とか。これは日本映画の専売特許かと思っていたが、6月28日公開の『コールド・ウォー あの歌、2つの心』がそうだった。

» 続きを読む

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年5月23日 (木)

展覧会をめぐる本:その(3)

展覧会について長い文章を書くための読書として、いわゆる「ランカイヤ」=「展覧会屋」の書いた回想録もいくつか読んだ。新聞社や企画会社や百貨店で長年展覧会に従事した人々のうち何人かは、その体験を本にしている。最初に読んだのは西澤寛著『展覧会プロデューサーのお仕事』。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月22日 (水)

『アメリカン・アニマルズ』の作戦勝ち

バート・レイトン監督の初長編劇映画『アメリカン・アニマルズ』を劇場で見た。予告編では『レザボア・ドッグス』や『オーシャンズ11』の題名を比較に出し、大学生4人組の強盗事件の過程をたっぷり見せる感じだったので、これは行かねばと思った。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月21日 (火)

目白のエミリア=ロマーニャ料理

あまり教えたくないのだが、目白に東京で最もマニアックなイタリア料理店がある。Tre Gattiトレ・ガッティという名前だが、まず店を見つけるのが大変。目白駅近くのビルの2階にあり、1階には日本語なしでTRE GATTIと書いてあり、下に営業時間がイタリア語で書いてあるだけで、普通は引く。さらに2階の店のドアには食べログお断りとイタリア語で書いている。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月20日 (月)

『きみと、波にのれたら』の水と火に酔う

6月21日公開の湯浅政明監督のアニメ『きみと、波にのれたら』の試写を見た。この監督は、2年前に『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』を見てその表現の自由さに仰天した。さて今度はどうなるかと期待したら、何と純愛ものだった。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月19日 (日)

都写美から文化村へ

長年美術の仕事をしていたので、映画を見ると近くにある美術館に寄ることが多い。ガレルを見に恵比寿に行って東京都写真美術館で宮本隆司展などを見て、映画美学校で試写を見てから文化村のザ・ミュージアムで「印象派への旅」展を見た。

» 続きを読む

| | コメント (0)

2019年5月18日 (土)

またガレルを見る

先日フィリップ・ガレル監督の『ギターはもう聞こえない』(1991)を見たが、もう1本の『救いの接吻』(89)もなぜか日に日に見たくなってとうとう最終日に見に行った。こちらは白黒だし、ガレル本人が監督を演じ、妻も息子も父親もそのままの役で出てくると聞いて、これはやめようかと思っていたのだが。

» 続きを読む

| | コメント (0)

«展覧会をめぐる本:その(2)