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2009年4月26日 (日)

ルーヴル美術館展

今、東京で二つのルーヴル美術館展が開催されている。六本木の国立新美術館と、上野の国立西洋美術館。この2つの館は、組織上は独立行政法人国立美術館という同じ組織に属していることを考えるとどうなっているの、という気はするが、問題はもっと根深い。自分もその片方に少し係わったのであまりくわしくは言えないが、日本で同時に2つのルーヴル展をやる意味はあるのか、とあえて問いかけたい。

美術品は、それにふさわしい環境で見た時、最も美しく見える。よそから作品を借りてくる企画展は最近のはやりだが、美術にとってはマイナス面が多い。ルーヴルの名品を東京に持ってくるより、移動すべきは観客ではないのか。美術品は移動するごとに傷つき、摩耗する。企画展と称する移動展覧会は、観客にとっては遠くにあるものを見られて一見便利に見えるが、美術品は痛む。縁もゆかりもない会場で、お金をかけて特殊な照明を当てて展示ディスプレーを作って無理に美しく見せてどうするのだ。同じく上野で開催中の阿修羅展は、360度から見られると人気らしいが、本当なら興福寺で見やすく見せるべきだろう。

二つのルーヴル展では、上野の方が断然入っているようだが、個人的には六本木の子供をテーマにしたもののほうが、ずっといいと思った。西洋文明とは何かについて、いろいろ考えさせられる。

ルーヴルはこの二つの展覧会で、5億円以上の借用料を手にするらしい。その多くは観客の入場料からまかなわれる。そのお金があったら、日本の美術館の充実や、日本美術の修復に使えないかと、あらためて思う。

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