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2009年5月 5日 (火)

「ロスコ展」など

昨日は「アーティスト・ファイル2009」展と「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子供たち」を乃木坂の国立新美術館で見た後、近くのサントリー美術館で「まぼろしの薩摩切子」展を見る。今日は小雨の中、佐倉の川村記念美術館で「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展を見た。
「アートティスト・ファイル」はレベルの低い作家が多かった去年よりはずっと粒が揃っていたが、突出した作家がいない。ある程度おもしろい作品が広い空間にきれいに並ぶさまに、なにかしらいらだたしさを感じた。日本の現代美術を取り巻く安易さがそこにあるような気がした。なかでは齋藤芽生の怨念を込めた細密画のような絵画がもっともおもしろかった。
「ルーヴル展」は内覧会に次いで2度目だが、とにかく人が多い。小さな彫刻は見るのも大変だ。子供というテーマをさらにサブテーマに分けたよく考えられた展覧会だが、これだけ人が入る大型展だと単純に時代別や地域別に見せてくれた方がわかりやすいかもしれない。作品ももっと少なくてもいいと思った。それにしても、ティントレットの聖母子像は何度見てもいい。衣服の濃い赤や青い空の組み合わせの鮮烈さは忘れがたい。
「薩摩切子」展は、最新の照明を誇るサントリー美術館にピッタリの企画だ。暗い空間の中で細かい細工にひとつひとつ照明があてられてきらめく。正直言うと、江戸切子は知っていたが、江戸末期から明治初期に薩摩でこれほどの切子が作られていた事実自体を知らなかった。ガラス作品を大量に所蔵するサントリー美術館だけに、日本中から作品が集まってきていた。
そして、ロスコ展。広い部屋にシーグラム壁画が並ぶ。ロンドンのテート・ギャラリーとワシントンのナショナル・ギャラリーと川村の3つの美術館から揃った15点。赤が黒になり、また赤に変わる色彩の魔術に取り込まれそうだ。高い天井の薄暗い空間に濃密な空気が漂っている。これだけ一度に並ぶ機会はもうないだろう。もともとロンドンのテートで開催されたものが川村に巡回したという。サントリーと同じく、欧米にも望まれる作品を持つ美術館だからこそなし得る芸当だ。佐倉は都心からは遠いが、今年一番の見るべき展覧会だろう。
サントリーも川村も私立の美術館だ。2年前にできた国立新美術館の特徴は、所蔵作品がないことだという。その結果、学芸員が趣味のように現代美術を並べたり、マスコミに会場を貸して、マスコミは海外から「○○美術館展」を持ってくる。何十万人という入場者のチケット代の大半は、数億円の借用料としてルーヴル美術館などの改装費用に当てられる。どこか間違っていませんか。

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