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2009年5月26日 (火)

夏時間の庭

2度目だが、やはり良かった。オリヴィエ・アサイヤス監督は「冷たい水」や「感傷的な運命」など好きな作品もあるが、多くの作品はちょっと感情表現がエキセントリックで、苦手だった。しかし今回は人が変わったように落ち着いた演出だ。75歳の母の死を受け止める子供たち。もちろん遺産相続という現実的な問題となり、子供たちの意見は割れる。多少考え方は違っても、それぞれの人間的感情は残る。
これはまるで「東京物語」ではないか。この映画には母の死の場面も、葬式も、裁判所の調停も、劇的な場面はほぼ省かれている。部屋の中でささやく家族の声と動き回るキャメラがすべてを物語る。食器の触れ合う音。お手伝いさんのエロイーズが、荷物が運び出されて壊される直前の家を訪れて、何もない部屋を窓ガラスから見るシーンに、この映画の重要なすべてがある。

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