ジャ・ジャンクー再び
昨日この監督の「四川のうた」を再見して感動した勢いで、旧作の「プラットホーム」を見に行った。二日連続してユーロスペースに行ったことになる。学生みたいで我ながらおかしい。
「青い稲妻」や「世界」は見ていたが、その前の2000年に作られたこの作品は見ていなかった。結果は予想以上の傑作だった。監督が生まれた汾陽(フェンヤン)が舞台で自叙伝的な要素が強く、いわば青春の痛みをそのまま映像にしたような映画だ。ホウ・シャオシェンの「風櫃の少年」に近いかもしれない。
中国映画と言えば、いまだに陳凱歌や張芸謀の第五世代が有名だが、ジャの感性はホウ・シャオシャエンやエドワード・ヤン、あるいはもっと若手のツァイ・ミンリャンなど台湾の監督たちに近く、極めて繊細で自然だが映画そのものへの洞察に満ちている。
ちなみにこの監督の映画はすべてオフィス北野を中心に日本の会社が製作している。「プラットホーム」のパンフレットには、「一瞬の夢」をベルリン国際映画祭で発表した監督が、ベルリンで当時松竹にいた市山尚三氏に「プラットホーム」の企画書を渡したことから始まったことが書かれている。すぐれた監督を日本のプロデューサーが見出して、日本の資金で映画を撮らせ、世界に羽ばたかせる、これ以上の文化的貢献はないだろう。ジャ・ジャンクーはたぶん世界の5本の指に入る巨匠だ。彼を日本が見出し、4本も長編を作らせていることに日本人はもっと胸を張るべきだろう。
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