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2009年6月 3日 (水)

ジョルジュ・メリエスDVDと著作権

映画誕生初期の魔術師とも言うべきジョルジュ・メリエス(1861-1938)の173作品を集めたDVDボックスが、この3月にアメリカで発売されたが、ようやく入手した。全5枚で、総時間数は13時間を超す。これまでDVDで入手できたのは20作品あまりだったのだから、これは大事件だ。メリエスは500本以上の映画を作ったが、多くが失われた。その後少しずつ発見がされていったが、このボックスには現在見ることの可能なほとんどが網羅されている。これはすごい。リュミエール兄弟を真似てトランプ遊びをする最初の映画から、「人間オーケストラ」(1900)、「月世界旅行」(1902)などの傑作を経て、最後の「ブリション家の旅行」(1913)に至るまで、何でも見ることができる。
同封の小冊子を見ると、作品を提供したフィルム・アーカイヴは、アメリカのジョージ・イーストマン・ハウスや議会図書館、映画アカデミーのほか、英国のBFI、ドイツのミュンヘン映画博物館、オーストリアのアーカイヴ、イタリアからはボローニャやミラノのアーカイヴなどフランス以外の主要なアーカイヴが協力している。メリエスはフランス人なのに何故フランスは協力しないのか。理由はおそらくメリエス家にあるのだろう。子孫たちは自ら作品を集め、何十年も自分たちで上映活動をしてきた。ある時期まではシネマテーク・フランセーズやフランス国立映画センターとも対立していたが、最近はシネマテークに全作品を寄贈したと聞く。ひょっとすると寄贈の条件が、DVD化を認めないことだったのではないだろうか。
小説家でも画家でも本人が亡くなると、遺族が著作権を持つ。マティスもピカソもいまだに著作権が存在し、遺族はその管理をすることで入る著作権料で食っている場合もある。マティスのように大きな存在なら勝手なことは許されないが、メリエスくらいだと、遺族の意のままにしてきた場合が多い。長い間フジタもそうだった。著作権という考えは20世紀になって生まれたが、これを武器に遺族が芸術の正当な評価を妨げる例はあまりにも多い。なんと残念な、そして悲しいことだろう。

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