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2009年6月30日 (火)

『ちゃんと伝える』

8月22日からシネカノン有楽町1丁目ほかで公開される園子温監督の新作の試写を見た。実は、ぴあフィルムフェステバルで20年以上前から有名だったこの監督の映画を見たことがなかった。
初めて見たが、結論から言うと才能に溢れた監督だと思った。だがそれ以上に父親が高校のサッカー部の部長で、私生活でも怖くてしょうがなかったという設定で既に泣けてしまった。私も似たような境遇にあったからだ。そのうえ、自分の父親がある日突然釣りに凝りだしたという設定も私の父と同じだった。私の場合は、父親には「ちゃんと伝える」ことをせず、よそよそしいままに父は他界してしまった。
最初の高橋惠子が寝ているシーンは小津の『晩春』を思わせる力がある。プロローグで見せた部分を、主人公もガンがわかったという事実の露呈と共にもう一度見せる。その時は別のカットで同じシーンが展開される。
計算されつくされたシナリオなのに、大事なところでは若い女性の泣く表情のクローズアップに頼る。若い男女が夜中に商店街を歩くシーンの美しさといったら。園監督は今後、東宝や東映のメジャー映画でも十分にいけるだろう。
今年の日本映画は豊作ではなかろうか。『重力ピエロ』『ガマの油』『インスタント沼』『ウルトラミラクルラブストーリー』『精神』『嗚呼 満蒙開拓団』、これから公開される映画では『山形スクリーム』『のんちゃんのり弁』『蟹工船』『空気人形』などなど、インディペンデント系の豊かさに驚く毎日が続く。

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