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2009年6月30日 (火)

『正義のゆくえ』

今年67歳のハリソン・フォードが移民局捜査官を演じる群像ドラマの試写を見た。メキシコ、イラン、バングラデシュ、韓国、オーストラリア、南アフリカ、ナイジェリアなどからやってきた人々がグリーンカードや永住権を求めてもがく姿をロスを舞台に描く。いくつもの家族の場面が同時に進行するので最初はとまどうが、しだいにハリソン・フォードを中心にすべてがまとまってゆく。
バングラデシュや韓国のエピソードなど胸を打つシーンはあるが、手際の良い群像劇でアメリカの正義を押し付けられた気がしなくもない。永住権の授与式で各国から来た人々がアメリカ人になれて感動するシーンがクライマックスでは、なぜこんなにアメリカにあこがれて世界中からやってくるのだろうか、なぜアメリカ人になりたいのだろうかと思ってしまった。日本では貧困が話題だが、そのためにアメリカに行こうと言う人はまずいない。そういう意味でこの映画は、日本人が多民族国家アメリカや世界の現状を知るのに役立つと思う。全米で韓国系が108万人いて80万人の日系より多いことなどはプレス・シートを見て知った。
ハリソン・フォードはいくつになっても正義の象徴のような存在なのも、ちょっとありきたりだ。彼がもう少し踏み外したりするともっとおもしろいだろう。
もっとありきたりなのは邦題「正義のゆくえ」。原題はCrossing over。境界を越えてとかの意味だろう。最近の映画には「~のゆくえ」や「~の行方」の題名が多すぎないか。「青空のゆくえ」「恋のゆくえ」「花のゆくえ」「背信の行方」「真実の行方」「告発の行方」などなど。「正義のゆくえ」という題名で、ハリソン・フォード主演の移民問題を扱った社会派ドラマと聞いただけで、ありきたり感が充満してしまうような気がする。
初秋にTOHOシネマズシャンテなどで公開。

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