« 松本俊夫『映像の発見』 | トップページ | 「ルネ・ラリック展」 »

2009年6月23日 (火)

『嗚呼 満蒙開拓団』

岩波ホールで、羽田澄子監督のドキュメンタリーを見る。見る前は、いまさら第二次世界大戦の告発モノかとも思ったが、やはり見てよかった。
何より、かつての開拓団にいた人々を訪ねて全国を旅し、中国にまで同行する監督本人の姿勢がいい。調べたら監督本人が83歳の高齢なのに、どこか少女のような顔をして、「そうなの」と話を聞く。もういまさら語りたくない人も多かっただろうに。国を挙げた運動に乗せられて満州に渡った開拓民が、敗戦となると軍人や役人が我先に帰国する中、汽車にも乗せてもらえない。1ヶ月をかけて山の中を歩くなかで、半数が死んでゆく。
方正地区に建てられた開拓団の墓地は、中国政府が建てたもの。日本政府は今に至るまで責任を取らない。
戦争中の忌まわしい事実について語る人々が、まだまだこんなにいる。声なき声は探せば無限に湧いてくる。
かつて日本人が集まっている方正地区をめざして1ヶ月の逃避行をした人が、中国を訪問し、当時渡った川の前に立つ。「僕の妹はここを渡る途中に流された」。
そういえば最近、似たような場面をアメリカ映画で見た。飯田橋の名画座で見たエドワード・ズウィック監督の『ディファイアンス』で、ナチスから逃げてパルチザンとして終結する人々が、川を渡るシーンだ。考えてみれば、ほとんど同じ頃の話で、どちらも戦時中に国家から見捨てられた人々が放浪する物語だ。

|

« 松本俊夫『映像の発見』 | トップページ | 「ルネ・ラリック展」 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/45434002

この記事へのトラックバック一覧です: 『嗚呼 満蒙開拓団』:

» [メモ]満蒙開拓団の真実 [zames_makiの日記]
映画「嗚呼満蒙開拓団」に涙するだけでいいのだろうか?(日本では満洲への移民、開拓団は「自分たちは酷い目にあった」という被害者意識の上の感傷の対象でしかないようだ。戦争を知る羽田監督自身もその中にあるように見える。はたしてそれでいいのだろうか?)その前に知... [続きを読む]

受信: 2009年7月 6日 (月) 16時55分

« 松本俊夫『映像の発見』 | トップページ | 「ルネ・ラリック展」 »