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2009年6月 2日 (火)

「子供の情景」

神田神保町の岩波ホールでイラン映画を見た。父親も映画監督とはいえ、わずか19歳でこんな映画が撮れるとは。最初と最初にはさまれるバーミヤンの石仏の爆発シーン。その間に、少女バクタイの小さな物語が展開する。彼女のの娘の緑の服と薄黄色のスカーフと黄色のノートの象徴的なまでの美しさ。
とにかく文字を習いたい、学校に行きたいという意思だけですべてが動く。そこに立ちはたがるのは資本主義。ノートを買うためには卵を売らねばならない。卵は売れず、パンに代えることでようやくノートが手にはいる。しかしノートはタリバーンを真似る少年たちに引きちぎられて紙飛行機となって空を飛んだり、おじいさんが一枚ちぎって舟を作ると川をするすると流れていったり。一冊のノートの象徴的変容。
学校に行くと女の子は入れてくれなかったり、ようやく女子クラスを見つけると場所がなかったり。とうとうタリバーンごっこの男の子たちに頭から紙袋をかぶせられて洞窟に入れられる。そこにはほかの女の子も3人。友達のアッバスもその少年たちにいじめられ、穴に落ちて泥水だらけになる。そして叫ぶ。「自由になりたければ死ぬんだ!」
子供はすべてを見る。世界の真実を見る。ロッセリーニの「ドイツ零年」のように。あるいはキアロスタミの「友だちの家はどこ」のように。

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映画」カテゴリの記事

コメント

闘いの後の風景のライターの方へ
いつも興味深く拝見しています。
それにしても、映画をここまでよく見ていらっしゃるとはすごいです!
業界の方なのでしょうか。

投稿: | 2009年6月 5日 (金) 20時19分

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