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2009年7月26日 (日)

『戦艦ポチョムキン』

『戦艦ポチョムキン』をたぶん25年ぶりに見た。紀伊国屋書店から出ている2005年復元版のDVDだが、見ていて現在公開中の『蟹工船』を思い出した。未来的な空間構成や、迫力はあるけれど妙に間延びしたリズムが似ている。果たしてSABU監督はこれを見ていたかどうか聞きたい気がする。
それにしてもこのDVDは美しい。今でも学生街のビデオ屋においてあるVHS(1949年版)と比べると、映像は違う映画かと思うほどシャープで音楽も断然いい。
この映画は長らく映画史上のベストワンと言われてきた。日本では劇場公開されたのが1960年代だったが、大島渚がかつてテレビで「『戦艦ポチョムキン』なんて題名を聞くだけで頭に血が登るくらい興奮した。ようやく見たら、アレッ、という感じだったけど、当時はそんなこと言えなかったよ」と言っていたのを思い出す。
さてこの復元版で見た時に、現代の観客にもおもしろいのかどうか。監督のエイゼンチュテインが生涯考え続けたモンタージュについては、今見てみると言わずもがなのショットが多く、あまり成功しているとは言い難い。むしろ反乱者たちに幕をかけて殺そうとしたり、上官をどんどん海に落としたり、あるいはオデッサ階段で倒れた子供の顔を人々が踏んで行ったり、乳母車が階段を落ちて行ったりといった、あまり計算されていないシーンの強さに息を飲む。そういう意味ではモンタージュ以上に一つ一つのショットに監督の天才を見てとることができる。
オデッサ階段のシーンで、乳母車を追いかける母親の怒った顔のアップが何度も入るが、ながらくこの写真が代表的なショットとしていろいろな本に使われていた。実はその写真を見て私はこれまで男だと勘違いしていた。これは女性だったのですね。
見終わってDVD付属の資料を見てわかったのだが、この復元版のプレミア上映は2005年のベルリン映画祭で、生演奏付きで上映された。私はその場にいながら、その時は「いまさらポチョムキンでもないだろう」と友人と酒を飲みに行ったことを思い出した。酒を飲みに行って後悔することは本当に多い。

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