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2009年7月 6日 (月)

『ディア・ドクター』

田舎のニセ医者事件を鶴瓶主演で描く映画と聞くと、コミカルなものを想像するが、これは人間社会の奥深いところまで迫る力作だ。
ニセ医者とそれを知って支える人々も含め、悪い人は1人もいない。医者は村人に尊敬され、4年間も過ごす。インターンの学生が来さえも見破られない。その人間模様の不思議なあわい。
逆光で撮られた人の顔など、とてもDVDでは見えないような繊細な絵作りと、医者の4年間と事件発覚後の刑事の捜査とを入れ子細工にしながら真実に近づいてゆく絶妙のシナリオで、人間存在の闇の部分に静かに迫る。
鶴瓶や余貴美子、香川照之など登場人物の表情がいい。ときおりはいる村の風景や、家の中などの人のいないカットの的確さなど、西川美和監督はわずか長編3作目にしてもはや巨匠の域である。
今年は日本映画の秀作が多いが、これが一番かもしれない。

余談だがこの映画を見ながら、突然大学教師を始めてそれらしく授業をし、たぶん学生に人気のある自分を主人公に重ね合わせた。

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