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2009年8月 6日 (木)

Qの魔力

昨日の朝日新聞夕刊をめくっていたら、「ウルトラQ]のタイトルの写真が大きく載っていて、思わず読んでしまった。「ウルトラQ]から「1Q84」まで、Qをめぐるコジツケ話だが、妙に説得力があった。特に「ウルトラQ]や「オバケのQ太郎」をしっかり見ていた世代にとっては。
せっかくなら朝日新聞なんだから、戦後小津安二郎など数々の巨匠監督を唸らせた(Q)=津村秀夫についても触れたらとも思ったが、ちょっと文脈が外れるかな。それにしても津村はなぜ、いつからQと名乗ったか気になる。戦中の戦争協力を恥じたからかどうか。懺悔の末、たどりついた名前がQだったりして。


以下全文を貼り付ける。
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3カ月ほど前、書店のレジで、1枚のシンプルなポスターを目にした。「村上春樹 最新長編小説 『1Q84』 全2冊 5月29日発売 定価各1890円 新潮社」
 データはそれだけ。内容には一切触れていない。にもかかわらず、このタイトルが頭を離れなくなった。とりわけ「Q」の文字が……。発売初日に書店へ走って購入した。
 私のようなミーハーが大勢いたのだろう、現在、計223万部のベストセラーになっている。これほどヒットした理由はなんだろう。イスラエルでの作者のスピーチが感動を与えた、品切れ続出で飢餓感があおられた等々、いろいろ分析されているが、その中に「Q」という文字が持つ不思議な力も加えてみたい。
 「1Q84」とは、1984年に住む主人公がはまりこむ異世界のことだ。「クエスチョンマーク」の頭文字。疑問を背負ったもの。全体の2割ほど読み進んだところで、それは明かされる。しかし、タイトルを目にした瞬間から、ざらざらした不穏な空気を私たちはあらかじめ感じていたのではないか。
 「Q」といえば、「阿Q正伝」が思い浮かぶが、日本でも、その謎めいたイメージを決定的にしたテレビ番組が1966年にあった。日本初の本格特撮ドラマ「ウルトラQ」だ。混沌(こんとん)としたマーブル模様が次第に形を成し、「ウルトラQ」の文字になる。このオープニングが当時の子供たちを異世界へ連れ去った。
 「ウルトラC」と「クエスチョン」の頭文字を合わせて生まれたタイトル。脚本・監督の飯島敏宏さんは「番組のテーマと、『Q』という字の謎めいた雰囲気がとてもマッチしていた」と振り返る。
 栫井(かこい)巍(たかし)プロデューサーによると、放送開始前、山手線を「ウルトラQ」と大書しただけの中吊(づ)り広告で埋めようと企画した。予算が取れず実現しなかったが、「Q」の引力に賭けるという点で、『1Q84』のポスターと同じ発想がすでにあった。
 「ウルトラQ」はTBS系の日曜夜7時放送だった。チャンネルをそのままにしておくと、7時半からアニメ「オバケのQ太郎」が始まった。こちらの「Q」の力はミステリアス方向ではなく、コミカルな空気を醸し出した。「チョロQ」「シャ乱Q」も、どちらかといえば面白系統か。
 「Q」の不思議な力は文字の形によるところも大きい。「O」の下にニョロッと生えたヒゲ。他のアルファベットとは成り立ちが異なるように見える。奇妙な形が様々な想像力を喚起するのだ。奇妙なイメージはもちろん海外にもあるのだろう。「007」にも「Q」と呼ばれる謎の人物が登場している。
 ところで、十数年前にブームを起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がいま、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」としてリメークされている。第1部が「序」。ヒット中の第2部が「破」。そして次の第3部は、何と「Q」になるという。
 先の見えない不穏な時代。「Q」の引力がどんどん大きくなっている。(石飛徳樹)
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