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2009年9月15日 (火)

ベネチア国際映画祭:その⑤レトロスペクティヴ

国際映画祭というものは、話題の新作を上映する一方で、必ず古い映画の特集上映がある。これがある意味で映画祭の文化度を見せることになる。
今年のベネチアは昨年に続いて「この幻想たち(Ⅱ):再発見されたイタリア映画」と題して40本近くが上映された。

ここにはロッセリーニもヴィスコンティもフェリーニもない。マウロ・ボロニーニやマリオ・モニチェリあたりは知っているが、半分以上は全く聞いたこととのない監督の作品だ。
私が見たのはモニチェリの『戦争—はだかの兵隊—』とジャンフランコ・デ・ボスィオの日本未公開作『テロリスト』の2本だけだ。
『戦争』は1959年、つまりちょうど今から50年前にベネチアで金獅子賞を取っているうえ、ヴィットリオ・ガスマンとアルベルト・ソルディという二大スターの出演だ。娼婦役でシルヴァーナ・マンガノまで出ている。
出だしはコミカルで、第一次世界大戦を舞台にした喜劇かと思いきや見ているとだんだん前線の悲惨なシーンが出てくる。つい隣にいた同僚が目の前で死んでしまう過酷さ。そうしてしまいには主人公たちまで殺されてしまう。舞台はベネチアの近くで、妙にリアリティがあった。
『テロリスト』(1961)は日本では全く無名の監督の第一回長編だが、無駄のない硬質の映像の作り出すサスペンスを堪能した。主演はジャンマリア・ヴォロンテで、第二次大戦末期のベネチアで対ドイツ軍へのテロを繰り返す男を演じる。こちらはまさにベネチアの町が舞台で大半がロケだと思うが、ドイツ軍が運河を見張るなか、船を使って爆弾を仕掛ける冒頭のシーンなどは迫力満点だ。ベネチアという運河都市の迷路を最大限に利用した秀作だ。
2本ともチネテーマ・ナツィオナーレの素晴らしい復元プリントだった。映画は自国の映画を再発見する場でもある。

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