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2009年9月11日 (金)

グリーナウェイとデヴッド・リンチの美術的才能

ベネチアで見た映画の感想は後ほどゆっくり書くことにして、ベネチアで見たピーター・グリーナウェーとパリで見たデヴィッド・リンチの展覧会について書きたい。

ベネチアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島のチニ財団で開かれているグリーナウェイの展覧会は「カナの婚礼」と名付けられている。ヴェロネーゼの同名の絵を約20分の映像で表現したもので、聖書のテーマを描いた絵を解体し、まるで絵の中の人物がさまざまな会話をしているように見せてくれる。会場は修道院の礼拝堂で、前面に大きなスクリーンがあり、両側にもさまざまな映像が映される。一枚の絵にこんなに自由な解釈が可能なのかと教えてくれるスリリングな時間だ。
もっと驚いたのは、パリの百貨店ギャラリー・ラファイエットで開かれているリンチの展示だ(10月3日まで)。2階のルイ・ヴィトンの裏にある空間では彼のリトグラフが展示され、奥のスクリーンでは短編が上映されているが、すごいのは1階の計100メートルあまりの11のショーウィンドウに展開されている展示だ。機械、抽象、女性の3つをテーマに、近未来のさまざまな世界を3次元の機械仕掛けで展開している。かなりグロテスクなイメージもあるが、道行く多くの人々が思わず足を止めて見入っている。
百貨店の展覧会は日本は長い伝統を持つが、大通りに面した大きなショーウィンドーを11面も鬼才の映画監督に提供するとは、何と大胆なのだろうか。
グリーナウェーもリンチも映画監督だが、その展覧会の面白さは、ベネチア・ビエンナーレやポンピドー・センターの女性作家をテーマにした展覧会で見た大半の美術作家を上回っている。

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