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2009年9月13日 (日)

ベネチア国際映画祭:その④受賞結果

ベネチアの帰りにパリに寄ってカフェで昼食をとっていたら、パリに住む日本人の知り合いから声をかけられた。ポンピドー・センターの前の「カフェ・ボーブール」なので知り合いに会うことは珍しくないが、驚いたのは最初の言葉が「ブログ読んでますよー」だったこと。

数人から「読んだ」と言われたことはあったが、まさかパリで言われるとは。あまりいい加減なことや他人の悪口を書かないようにしないと。

で、ベネチア国際映画祭の受賞結果が発表された。以下、アサヒコムからのコピペ。
▽金獅子賞(作品賞)=「レバノン」(サミュエル・マオズ監督)▽銀獅子賞(監督賞)=シリン・ネシャット(女たち)▽審査員特別賞=「ソウル・キッチン」(ファティ・アキン監督)▽男優賞=コリン・ファース(ア・シングル・マン)▽女優賞=クセニア・ラポポート(対の時間)▽マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)=ヤスミン・トリンカ(大きな夢)▽美術賞=シルビー・オリベ(ミスター・ノーボディー)▽脚本賞=トッド・ソロンズ(戦時下の生活)▽栄誉金獅子賞=ジョン・ラセターほか▽監督・ばんざい!賞=シルベスター・スタローン

どうも受賞作の上映が後半に集中したようで、私が見たのはトッド・ソロンズの「戦時下の生活」のみ。これは鬼才ソロンズが、現代アメリカの家族を皮肉たっぷりに描いた映画で、真剣に愛を求めれば求めるほどおかしなことになっていく物語だ。脚本賞ということ自体が皮肉に見えてくる。
前半から中盤まで結局19本見たが、いい作品も多かった。受賞と関係ないのでたぶん明日以降の新聞各紙でも触れられないだろうから書いておく。

クレール・ドニ"White material“(ホワイト・マテリアル):フランスの旧植民地で起こる内戦をフランス人家庭を通じて描いた作品で、最近のドニの作品と違って嫌みのないリアルな物語だ。主演のイザベル・ユッペールが抜群にいい。
パトリス・シェロー"Persecution"(迫害):ロナン・デュリスとシャルロット・ゲンズブールのなかなか通じない愛を描いた作品だが、二人の愛の行方よりも描かれたパリの街や人々の悲惨な感じが心に残った。
イェシカ・ハウナー"Lourdes"(ルルド):シルヴィー・テストゥ主演の、ルルドへの巡礼を描いた映画で、まるで狐につままれたように感動してしまった。監督は無名のオーストリア人女性。
ジャック・リヴェット"36 vues de Pic Saint loup"(聖ルー山頂の30景):まるで「美しき諍い女」の後日談のようだ。南仏を舞台にジェーン・バーキン率いるサーカス団と車で通りかかったセルジオ・カステリート演じるイタリア人の不思議な出会いを、まるで墨絵のように淡白に描いた小品。
ほかに気になったものとしては、ヴェルナー・ヘルツォークの2本のアメリカ映画がそれぞれそれなりにおもしろかった。ドイツのニュージャーマンシネマの旗手が、1本はニコラス・ケージ主演でもう一本はウィレム・デフォー主演で撮ったというのもびっくり。
期待のフランチェスカ・コメンチーニの新作は、ナポリを舞台に赤ちゃんが早産してしまうシングル・マザー(マルゲリータ・ブイ)を描いたが、大衆受けを狙いすぎた感じでがっかり。病院や街を滑らかに動くルカ・ビガッツィのキャメラは見事だったが。
マイケル・ムーアの「キャピタリズム」は、まとまりの悪い議論が2時間もあって退屈した。オバマを全面的に支持しているのもおもしろくなかった。映画が現実に追いつかない感じだ。

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