どんどん読める『沈まぬ太陽』
ベネチア滞在中に、自分が行きの飛行機で読んだ『メディアの支配者』全2巻を、友人が持っていた山崎豊子の『沈まぬ太陽』1、2巻と交換した。エール・フランス機の中で日本航空の話を読むのも妙だったが、一気に読んだ。
わざわざプルーストも持って行っていたのに、こういう本を前にすると全く手がつけられなかった。帰国してその日に3、4、5巻も買いに行ったくらいだ。
自分も日本航空と似たような親方日の丸体質の会社に2つも務めたので、描かれているような腐敗やゴマすりの横行はよくわかる。がんばりすぎて疎まれて左遷された経験も一度ならずあるので、主人公の思いも少しはわかる。
もちろんこの小説のように善人と悪人がきちんと分けられているわけではないというのが、実感とはしてある。すばらしいと言われる人が、時として自分も気づかずに甘い汁を吸っていることも多い。でも、大衆小説としてはこのくらいの単純化が必要なのだろう。『メディアの支配者』のようなノン・フィクションではないので。
利根川首相=中曽根首相、田沼元首相=田中元首相のように明らかにそれとわかるモデルが多いので、試しに「沈まぬ太陽 モデル」で検索してみたら、出るわ出るわ。行天常務以外は全部あるようだ。当然、「事実と違う」という反論もたくさん見つかった。そうだろうと思った。
文庫の帯に書いてあったが、渡辺健主演で10月24日から映画も公開されるらしい。つまらないかもしれないが、見に行くと思う。
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