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2009年9月 4日 (金)

飛行機で読む『メディアの支配者』

なぜか久しぶりのヴェネツィアへ向かう飛行機で、フジサンケイグループの過去から今日までを描いた本「メディアの支配者」上下(中川一徳)を一気に読んだ。2005年に出た本だが、気になっていたら文庫になった。実はこのフジサンケイというのは四半世紀ほど前に私が留学した時のスポンサーであり、帰国後そのまま就職しかけた会社だった。

驚いたのは、私が少しなりとも係わった1980年から半ばから後半というのは、フジサンケイにとっても激動の時期だったということだ。長く君臨した鹿内信隆の息子の春雄が父を継いでグループ議長となり、頼近美津子と再婚して話題を巻いたのち突如死んでしまい、娘婿の宏明が議長になり信隆は亡くなる。もちろん当時いろいろな噂は聞いていたが、就職活動をしていた私はあまり問題だと思った記憶はない。「楽しくなければテレビじゃない」と標榜し、「笑っていいとも」や「夕焼けにゃんにゃん」などを作り、「夢工場」というイベントや映画「南極物語」を当てまくるテレビ局だと思っていた。

この2巻本では、1992年に娘婿の宏明が突然取締役で会長を解任される場面に始まり、フジサンケイというグループを鹿内信隆がどのように大きくしていったかを戦前に遡り、戦後のラジオやテレビの開局から最近のホリエモン乗っ取りまで関係者しか知り得ない細部を満載して語る。驚きは多い。経済団体の事務局上がりでオーナーでもないに、一人でここまで大きくしたこと。それを強引に一族に引き継ぐ形を取ったこと。このグループが最初から「反共」を売り物にしていたこと。朝日が左の商売ならウチは右を売り物にすると言っていたという。そうして家族間の愛憎。

新聞をも含むマスコミを一族で操るという考えがこんなに長く続いていたと思うと、あらためて恐ろしくなる。私はそこに勤めようと思っていた。当時面接などで会って名刺をもらった人事部長や報道局長の名前もあった。

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» メディアの支配者〈上〉 [ウメくんの拷問読書生活]
拷問読書今週の一冊、累計122冊目。 フジサンケイグループの黒歴史を詳細に書いたノンフィクション。上巻は3代に渡ってグループを統率してきた鹿内一家の支配を、他の役員たちがク... [続きを読む]

受信: 2009年9月21日 (月) 01時39分

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