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2009年9月20日 (日)

写真美術館で展覧会を3本見る

恵比寿の東京都写真美術館で「稲越功一展」(10月12日まで)、「北島敬三展」(10月18日まで)、「旅 第2部 異郷へ」展(9月23日まで)を立て続けに見た。20世紀後半の日本人写真家たちの写真をまとめて見ることで、その違いがわかっておもしろかった。

「心の眼」と展覧会名にあるように、稲越の写真はまるで心象風景のような瞬間を日常から切り取って定着させたもの。プライヴェートで静謐な写真を見ていると、時が止まったような気分になる。特に日本を撮った「記憶都市」(87)のシリーズがいい。高度成長からバブルに向かう東京の、取り残されたような場所を撮った貴重なものだ。そういえば、このシリーズにかつて私が住んだ豊洲の運河沿いのマンションのがあったはずだが、今回は展示されていなかった。
北島敬三の場合は稲越の選びぬいた感じと対照的で、どこでも何でも撮るぞというダイナミズムに溢れている。稲越は静かな風景が多いが、北島は世界中の都市で特徴的な人を選んでアップで迫っている。それぞれに撮る側の意識が見えてくる。プラハの街の中に工場がある83年の写真があったが、私が84年にプラハに旅行した時に記憶に残っている風景そのものだった。
「旅 第2部」というのは、10人の日本人写真家が70年代から80年代に日本の各地で撮った写真のグループ展のようなもの。アラーキーの「センチメンタルな旅」のように有名な写真もあったが、今回は牛腸茂雄の美しいプリントに心を打たれた。「日々より」と題したシリーズだが、その明暗の焼き具合に惚れ惚れした。この人の写真をもっと見たい。

自分が生きてきた時代の日本の写真を見ると、どうしても自分の個人的体験と重ね合わせて見てしまう。

そういえば来日したフランス国立図書館の前館長、ジャン=ノエル・ジャヌネー氏と夕食を共にする機会があったが、彼もこの3つの写真展を見て絶賛していた。確かに最近の都写美は、外国人が来ても胸を張って見せられる数少ない美術館だ。

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