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2009年9月27日 (日)

ベネチアのプンタ・デラ・ドガーナ

まだベネチアのネタを引っ張っていると思われるかもしれませんが、これについては書いておきたい。今、ヨーロッパで最も話題の美術館、ベネチアのプンタ・デラ・ドガーナPunta della Doganaのことだ。直訳すれば“税関の先っぽ”。

フランスでプランタンデパートやサン・ローランなどのブランドを持つ大金持ちのフランソワ・ピノーが、自らの現代美術コレクションをベネチアの旧税関倉庫跡を改装して並べたものだ。改装をしたのは安藤忠雄。もともとパリのセーヌ河のスガン島に作るはずがポシャっていつの間にかベネチアになった。
大型の現代美術作品が専用に作られた展示室に並ぶ姿は、通常の美術館よりずっと見栄えがする。入口にかけられたのはフェリックス・ゴンザレス=トレスのビーズのカーテン。それをくぐると、シンディ・シャーマンがあったり、チャップマン兄弟のインスタレーションがあったり、村上隆や杉本博司も。個人的にはあまり好みでない村上も、立体と絵を並べて一つの部屋で見せられるとインパクトがある。
安藤忠雄の内装は、いつもの通りコンクリートとガラスを中心に、もとの煉瓦の建物を最大限に生かしている。このくらいなら安藤でなくても日本の建築家でできる人は何十人もいると思うが、ここはTADAO ANDOの名前が欲しかったに違いない。
近くに数年前にオープンしたグラッシ宮殿があってこちらも安藤が内装を担当している。もともとフィアットが所有し、「未来派展」や「ケルト展」などを企画して話題になったところだ。こちらもピノーの現代美術コレクションが展示してあるが、普通の美術館のような構造なので、煉瓦がむき出しになったプンタの展示に比べてだいぶインパクトは弱い。
プンタの改装費は約27憶円だったという。日本のどこかの現代美術館の建築費が300憶円だったと思うが、それに比べたら格安だ。ヨーロッパの金持ちにとってベネチアで自分の美術コレクションを見せるというのは、最大の自慢だろう。
入場料はプンタのみでも17ユーロ(2000円強)と高いが、入場に行列ができていた。係員もイタリアの通常の美術館と違って丁寧だ。これは意外に建築費などはすぐにペイするのではないか。
日本の公立美術館のように建物をまず作って中身を考えるのではなく、コレクションが集まったから見せる場所を作る。それも古くからある建物をその良さを生かして改装する。場所は世界一の観光地で入場料収入が期待できる。実に賢い。

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