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2009年9月19日 (土)

『カムイ外伝』の新聞評

昨日の日経新聞夕刊を読んでいて驚いた。映画評論家の宇田川幸洋氏が、今日から公開の『カムイ外伝』に5点満点でたった2点をつけている。新聞記者やライターの多くが「こりゃー」と困惑したできあがりだったが、ほかの新聞ではおおむね無難にほめている。

伝説的な原作に、宮藤官九郎脚本、崔陽一監督に松山ケンイチに小雪の主演という話題作で松竹のチェーン公開なので、新聞で触れないわけにはいかないだろう。しかし、誰が見ても崔監督の失敗作をきちんと批評している新聞は日経以外にない。毎日の記者は「人間描写、これぞ“崔節”」と持ち上げ、読売は短い評でごまかしている。いったいこの映画に「人間描写」はあっただろうか。
最悪は朝日で、先週に映画評論家の秋山登氏が「仕立ては大味」と困惑を見せながらも「野暮なことは聞かぬ面構えの<活動巨編>である」と締めくくる。さすが元記者のバランス感覚だ。さらに今週は記者の監督インタビューを大きく載せている。そういえば数日前にも「異色の時代劇、続々」という朝刊のヨイショ記事でも取り上げていた。
精力的に作り続けている崔監督とは、新聞記者たちは親しいに違いない。監督協会理事長であり、体も声も大きいし、根にもたれたら怖そうだ。だからと言ってダメな時には苦言を呈するのがジャーナリストだろう。短めの評でごまかすのも一つの手だが、これまで秀作を撮ってきた日本の監督に取るべき態度ではなかろう。。
その意味で「アクションは停滞し、緊張はゆるむ」「サスペンスがどこかに消えてしまった」と書き「本筋を忘れたかのように見えるのは残念である」と締めくくって2点をつけた宇田川氏の勇気が光る。
ヨイショ記事だけなら新聞に映画の記事はいらない。最近はインタビューやコメントまで満載の広告で十分だ。

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