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2009年10月18日 (日)

作りすぎた公立美術館も統廃合を

3日前の読売新聞朝刊文化面で、美術修復家の岩井希久子さんが東京都美術館で開かれた「日本の美術館名品展」展覧会の作品チェックをして愕然とした話が載っていた。各地の公立美術館の作品は購入後何十年もそのままの場合が多く、埃がこびりついたりカビがしていたり、とにかく保存状態がひどいらしい。

無理もない。美術館に専門の修復家がいるところなど日本に10館もない。大学の修士課程で美術史を勉強して運よく学芸員になった人が大半だから、そんな知識はあるはずはないのだ。そのうえ美術館の多くは学芸員不足で予算も十分にないから、作品購入もままならない。企画予算もろくにないから、新聞社の企画を受けるか、客の来ない現代美術をやるか、地元の美術団体などに貸し出すかしかない。
そのうえ、平日の昼間などに行ってみると観客が自分だけということも少なくない。都内でも板橋区立美術館や練馬区立美術館、町田市立版画美術館、府中市美術館なんてみんなそうだ。ましてや地方の公立美術館はもっとひどいだろう。いったい観客一人当たりにいくらかかっているのだろうか。

ろくな予算もなく、美術品の管理もできない美術館は整理統合したらどうだろうか。日本にはブリヂストン美術館とか大原美術館のような立派なコレクションを持つ私立美術館も多いし、文化村のような商業施設もがんばっている。公立美術館だけでも300はあると思うが、一年間に10万人も集められないようなところは、県立美術館に統合した方がいいのではと思う。そうなると学芸員は職を失うがそれは別の問題で、数億円の美術館の年間維持費をほかに回すことで救われる住民は多いだろう。美術館がつぶれそうになるとよく「○○美術館を守ろう」という運動が起こるけど、私には「学芸員を守ろう」にしか見えない。

民主党政権になってダムとか道路とかいろいろ廃止が決まって痛快だが、文化には手をつけていない。地方公共団体の美術館には口出しできないのかもしれないけれど、文化も聖域でないことを国レベルで示して欲しい。独立行政法人化とか、指定管理者制度とかの自民党時代の愚策は廃止して、この美術館は必要かという根本的な問題に手をつけるべきだ。

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コメント

よくぞ言っていただきました。その通りです。

アートという概念、美術館というシステムは、近い将来、社会的な意味、そして機能を失うことでしょう。いや、既に失っていると言った方が良い。今では、ただの、不良債権とその倉庫以外の何ものでもありません。

今後、「アート」が意味を持つとしたら……。それは秘密です(笑)。

今後の更新を、楽しみにしています。

投稿: ナイロン | 2009年12月 1日 (火) 15時52分

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