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2009年10月30日 (金)

ベタな映画2本

ベタな日本映画1本と韓国映画1本の試写を見た。山田洋次監督の『おとうと』とホ・ジノ監督の『きみに微笑む雨』。ふつうはこの2人の監督を比べたら、両方のファンが怒るかもしれない。それくらい違うけど、「ベタ」という表現が妙に会う。

1月30日公開の『おとうと』は、吉永小百合演じるしっかり者の姉と鶴瓶演じるダメな弟の物語だ。酔って姉の娘の結婚式をぶち壊しにしたり、自分の愛人が姉にお金の無心に来たり。それでもしっかり者の姉はその絆を切ることができない。
どこの家庭にも、親戚に一人はヘンなおじさんがいるものだ。鶴瓶はそのおじさんを大阪弁でコテコテに演じる。「愛すべき」という字が毎回字幕で浮かびそうなベタな演技だ。吉永小百合は逆に「立派」の一言が浮かぶ。あえてそうしたパターン化を自らに化しながらも、映像は一つ一つが丁寧に撮られている。例えば結婚式の前の誰もいない廊下のカットの挿入や、吉永小百合がリンゴをむく手のアップなど、小津安二郎を思わせる瞬間もある。
スタイリッシュな場面が光る『たそがれ清兵衛』などの時代劇にベタな寅さんシリーズの要素を混ぜた感じだ。最初に大阪万博や日航の御巣鷹山事件、あるいは阪神タイガースの映像をいかにも説明的に入れるなど、監督はあえてベタさを自らに課しているようだ。その意識がこの映画を凡庸さから救っているように見える。

11月14日公開の『きみに微笑む雨』は、チョン・ウソン演じる韓国人ビジネスマンが仕事で四川を訪れ、10年前にアメリカで別れた中国人の恋人(カオ・ユアンユアン)に再会するというもの。
二人の心の揺らぎを、四川の成都の木々や雨の中で丁寧に見せてゆく。それにしても、美男美女がいつまでも余裕ありげに悩んだりしていて物語が進展しないのをきれいな映像と心地よい音楽で見せられると、ちょっとうんざりした。撮影が抜群にうまいだけに、なおさら「もうわかった」という気がする。よくできた日本のテレビドラマのようにも思えた。
才能のあるいい監督なのに。
原題の「好雨時節」は、杜甫の詩の一説らしいが、雰囲気のあるいい言葉だ。

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