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2009年10月26日 (月)

『差別と日本人』に涙する

東京国際映画祭が終わって気分転換をしたくて、野中広務と辛淑玉の共著をようやく読む。部落出身の野中に在日韓国人の辛がどんどん質問をしてゆくが、二人の会話の中でこれまでに語らなかった真実がポロリと現れて、胸を打つ。

特に最後のお互いの家族を語るシーンはすさまじい。野中は娘の活動を見に行きたいが行けないし、孫の大学の入学式にも卒業式にも行けなかった。妻さえも自分とは人前で歩けない。差別部落出身の自分と一緒にされるからだ。辛の母は、日本の国籍を取るのに、有名になった娘のことを知らないと言ってしまう。そうして言う。「あんたが自分の正義感を貫こうとするために、家族がどんな思いをしていきているかわかっているのか」。ついに配偶者さえも去ってゆく。

対談の間に挟まれる辛の解説もいい。「差別は享楽なのだ」。麻生太郎の差別意識について触れた後にはこう書く。「麻生氏は植民地支配で財を築いた麻生財閥の中でぬくぬく育って、首相にまで上り詰めた」「麻生太郎が政治家でいられるのは、大衆の差別意識の上に乗っているからだ」。
自殺した新井将敬議員について触れた部分で、彼の初選挙の時に石原慎太郎が彼の選挙ポスターに真黒いシールで「北朝鮮から帰化」と貼って回った話は知らなかった。辛は「新井将敬を殺したのは石原慎太郎だ」と言い切る。麻生と石原は同じ匂いがすると思っていたが、それは差別の匂いだったと納得した。
野中はあとがきで「二泊三日ぐらいのスケジュールで、女房を車に乗せて、小旅行をしようかな。…罪滅ぼしになるのかならないのかわからないけれど」と書く。心に沁みる。

最近、アクセスが増えている。一日200を超す日も多い。「キネマ旬報」の著者紹介で友人がこのブログを紹介した(「匿名ブログだが著者は一読瞭然」と書いてある、ホントかな)ことが大きいのか、東京国際映画祭関連の検索が増えたのか。とにかく毎日1回ずつの更新は、何とか今後も続けるつもり。


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