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2009年10月10日 (土)

孤独な父親が主役の映画3本

子供を持つ父親の気持ちをメインにすえた映画の試写を、偶然に3本立て続けに見た。『千年の祈り』(11月14日公開)、『新しい人生のはじめかた』(来春公開)、『ACACIA』(東京国際映画祭コンペ作品)だ。この年になると、この種の映画にすぐ涙ぐんでしまう。

『千年…』は、香港出身の監督、ウェイン・ワンの映画だ。この監督は日本未公開の「飲茶」(1985)あたりから好きで、『スラムダンス』『夜明けのスローボート』『スモーク』とつきあってきた。今回も得意のアメリカの中での中国社会の話だ。米国に住む娘が離婚をしたため、中国に住む父親は娘を訪ねる。その二人の葛藤を、ほとんど気付かないくらい繊細に描いた秀作だ。娘の心を父親が分からないのは万国共通だが、その自己表現のしかたは国によって異なる。言葉を介さず少しずつわかりあうのはアジア的だが、この映画は少しそこに安住してしまった感もあってちょっとものたりない気もする。

それに比べて『新しい…』は、純然たるアメリカ式コメディで、言いたいことはすべて映像に描かれている。ダスティン・ホフマン演ずる男は、CM音楽の作曲家でニューヨークでひとり気ままに暮らす。別れた妻とのあいだにできた娘の結婚式に行って絶望し、新しい彼女にめぐりあうというあくまで積極的なテーマだ。娘の結婚披露宴でのダスティン・ホフマンのスピーチに涙してしまったが、あまりにも滑らかにすべてが進むので、どこかよそごとのような感じもある。新しい彼女役のエマ・トンプソンがなんともうまい演技だ。

日本映画の『ACACiA』は、監督は辻仁成、主演は何とアントニオ猪木。ワケアリ風の猪木が暮らすのは、函館のさびれた長屋だ。そこで出会う少年。少年の人生と猪木自身の人生が交差する。そのうえ猪木が演じる役割は元プロレスラー。元妻役の石田えりも感情を抑えた演技を見せる。
辻仁成という作家に対してはなぜか偏見があったが、この映画は実に丁寧に撮られていていて、かなり成功している。猪木の人生を捨てたような脂っけが抜けた表情がなかなかいいし、それ以上に函館の街がいい。辻特有のメルヘンタッチや作りすぎの設定は少し気になるが、かなりの秀作だ。とりわけ2度出てくる市内電車の中のシーンが秀逸だと思った。

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