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2009年10月27日 (火)

『フローズン・リバー』は久々の大型新人の映画

1月公開のアメリカ映画の試写を見た。無名の女性監督の第一回作品だが、その質の高さに驚いた。まず凍った河の上を移民を輸送するという設定が、実に映画的なサスペンスを最後まで生みだす。いつ落ちるかわからないという状態が最後まで続き、それが後半の展開につながってゆく。

疲れた顔をした中年女がトレーラー・ハウスの横でたばこを吸う最初のシーンから、リアルな触感が伝わってきた。彼女はもう一人のアジア系のシングル・マザーと会う。その出会いのそっけなさといったら。せっぱつまったふたりの女に不思議な友情が生まれてゆくのもいい。現代の資本主義の末端の悲劇であり、先住民問題もあり、フェミニズムもありと盛りだくさんのテーマを、淡々とした日常の細部を積み重ねてリアルに描いている。
監督のコートニー・ハントは1964年生まれ。映画的なセンスと描くべきテーマを兼ね備えた、骨のある大型新人監督の久々の出現だ。

この映画は、映画館であるシネマライズが自ら買ったという。以下はシネマライズのメッセージ。
「この度、映画館である私どもが直接本作の日本公開に関わることになりました。現在の洋画市場、ことに作家性の強いもの、あるいはドラマの市場の縮小を考えると配給社の判断も致し方ないと思いつつ、このような良質な作品が日本だけ未公開という状況もしのびなく、また権利元から再三の依頼を受け決断致しました」
確かにアート系、単館系の映画が当たらなくなって久しい。

東京国際映画祭についてこのブログで触れた時に、『フローズン・リバー』のような映画を特別招待で上映すべきと書いたが、今度東京フィルメックスで上映されるのでした。劇場公開は来年1月。

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