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2009年10月13日 (火)

東京国際映画祭:その1

まだ始まっていないけれど、コンペ作品の試写が始まったので忘れないうちに書く。今日はスペイン語圏の映画を2本見た。スペイン映画の『ストーリーズ』とボリビア映画の『ボリビア南方の地区にて』。

2作品とも地味だが、それぞれスタイルのある作家性の強い作品だ。『ストーリーズ』は、心に不安を抱えてセラピストに通う中年女性の話。彼女は小説を書き始めるが、彼女が書きつつある5本の短編小説の世界が白黒で挿入される。歌手を目指す娘をだまそうとする男、結婚式に現れる招かれていない女、死ぬ間際に殺人の過去をみんなに話す老人、38歳の男の写真をもとにその息子の肖像画を描くよう依頼される女性画家など、ちょっと変わった人々の話がひんぱんに動く手持ちカメラで登場人物の心の襞に入るように語られる。最後の画家の話が特にいい。
原題はRelatosで、映画の中でも「Relatosを書いている」という台詞があるので邦題としては「短編集」の方が的確だろう。

『ボリビア南方の地区にて』は、お金持ちの家族が堕落して次第に破滅に向かう過程を、まるでパゾリーニの『テオレマ』のように淡々と描く。まるで生き物のように円環を描いて動き回るカメラ。とりわけ屋根の上に登るのが好きな変わった子供を様々な角度から捉えるカメラワークは奇妙な印象を残す。白人と原住民の間の大きな溝が絶えず描かれるが、最後に現れる裕福な原住民には驚いた。
原題はZona Surだから、「南部地区」くらいの直訳の方が、「ボリビアの」と説明を付けるよりかえって雰囲気が出るのではないか。

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