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2009年10月22日 (木)

東京国際映画祭:その4

どうしても好きになれない六本木のシネコンに通い続けるのは、ひょっとすると映画の神様が与えた試練かもしれないなどとくだらないことを考えながら、東京国際映画祭に通う。

唯一の救いは、映画好きの友人たちに会えることで、著名な評論家もかつて映画会社にいた人も地方の映画館主もキアロスタミやヤスミン・アフマドの上映で会い、お互いがいい年をしてまだ映画を見続けていることを何となく照れながらも、軽く挨拶をする。
それにしてもヤスミン・アフマドの遺作『タレンタイム』には心を動かされた。中国系やマレー系やインド系が混在するマレーシアの厳しい現実と人々のやさしい思いやり。出だしはまるでテレビのバラエティ番組みたいで眠たくなったが、だんだんと映画の不思議なリズムに巻き込まれてゆく。そして最後の「タレンタイム」の時間。嫌いな友人がギターを弾く舞台に現れて胡弓で合奏する中国系の少年。突然、人間存在の普遍的な瞬間にたどりついてしまう。

香港のベテラン、アン・ホイの『夜と霧』もおもしろかった。かつて『望郷/ボートピープル』(1982)を渋谷のシードホール(知ってますか)で見て涙したのは20年ほど前のことだが、最近の新作は見ていなかった。家庭内暴力を扱った映画で痛々しすぎるけど、さすがに演出の力は歴然だった。現在の香港と中国本土の関係もうまく描かれていた。外国の映画祭のコンペに出ていないのなら、この2本はコンペに入れても良かったのではと思う。そういえば20年ほど前、香港映画祭中に日本人の関係者10人ほどと一緒にアン・ホイの事務所で新作を見せてもらい、そのあと全員で食事をごちそうになってしまった。狼狽する我々に対して、"I can afford it, don't worry"と言った時の彼女の笑顔を思い出した。

去年あたりから「ワールド・シネマ」が要注意なのだが、『タンゴ・シンガー』は思わせぶりの演出のわりには、いまひとつ。アルゼンチンからフランスに渡るあたりから筋もわかりにくい。渋谷の某映画館支配人は「主演女優ののタンゴの歌は下手なのでは」と言っていたが。

それにしても映画が始まる前の映画祭の映像が稚拙すぎる。オープニングとクロージング上映の映像を組み合わせてACTION FOR EARTHとは、まるで子供だましだ。外国の映画祭は毎年凝った映像で楽しませてくれるのだが。そもそも映画祭で環境を訴えるのは、オリンピックで環境を訴えたのと同じでお門違いというもの。

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