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2009年10月 5日 (月)

六本木で展覧会3本

六本木で展覧会を3つ見てまわった。サントリー美術館で「美(うるわ)しの和紙」展(11月3日まで)、国立新美術館で「THE ハプスブルグ」展(12月14日まで)と「光 松本陽子/野口里佳」展(10月19日まで)。全くジャンルも内容も違う3本だったが、それがまたおもしろい。

「美しの和紙」展は、副題に「天平の昔から未来へ」とあるし、ポスターに東大寺のお水とりに使われる紙の造花が使われていたので、もっと現代的な紙の造形を見られるかと思ったが、主として美術史の枠の中での展示だった。前半の書や写経の展示は見ごたえがあり、手紙や詩歌から通船朱印状まで興味深い。
3階に移り、イサムノグチの2mの巨大なあかりが出てきて、いよいよ現代の工芸や現代美術が始まると思いきや、江戸時代の屏風や浮世絵が始まる。一瞬あれっと思ったが、「美術作品に描かれた紙作り」というテーマのようだ。最後に突然和紙を触るコーナーがでてきて終わり。中途半端な印象が残った。もっと紙を使った工芸や建築、現代美術などを見られるかと思って期待していたのだが。

「THE ハプスブルグ」展は、ウィーン美術史博物館とブダペスト国立西洋美術館からハプスブルグ家所蔵の作品を集めている。「ベラスケスもデュラーもルーベンスも、我が家の宮廷画家でした」というキャッチフレーズにあるように、とにかくビッグネームが並ぶ。ほかにもティツィアーノもジョルジョーネもゴヤもエル・グレコもムリーリョもクラナッハもある。
ドイツ=オーストリアとスペインの宮廷を支配し、ナポリやトスカーナなどイタリアの一部を持っていたハプスブルグ家ならではの豪華さだが、全部を見ると大味な印象を受ける。「16世紀から18世紀までの西洋絵画展(フランスを除く)」といった感じの泰正名画展の印象が強い。もっとツィツィアーノを見たい、とか思ってもどの画家も2、3点しかなく、ゴヤやエル・グレコなどは1点しかない。満腹感と欠落感の混じる奇妙な感じが残った。
個人的にはベラスケスのフェリペ皇太子と白衣のマルガリータの大作が2点並んでいたのが特に印象に残った。幼いころから跡継ぎと定められた二人が痛々しく、周囲の闇の空間が恐ろしく見えた。

一番知的な刺激を受けたのは、松本陽子と野口里佳の二人展。さまざまな風景の中の光を追いかけて写真に収めた野口の探求はとどまるところを知らない。中盤の暗い室内にピンスポットを当てた写真で盛り上がり、後半の空や宇宙を撮った写真で打ちのめされた。実はこの作家のことは全く知らなかったが、その視覚自体の追求の奥深さに久しぶりの天才を見た気がした。
一方の松本は既に90年代のピンク色の連作の頃から好きだったが、今回最近の緑のシリーズを見て感銘を受けた。一見モネのような感じだが、じっと見ているとその中に飲みこまれそうな不穏さがある。抽象画という分野で見ることと描くことをどこまでも問いかけている姿勢に心を打たれた。
入ってから二人のどちらの展示室にも行ける形の空間もいい。この前の野村仁展もそうだが、新美の2階の展示室は気合いが入っている。

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