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2009年11月 8日 (日)

半藤一利の『昭和史』は目から鱗

よく考えてみたら、現代史については高校でおおざっぱに学んだ以外は、ちゃんと考えたことがない。半藤一利の『昭和史 戦後篇』を読んでそう思った。数年前に話題になった本だが、最近文庫が出ていたので買った。

戦争中に中学生だった半藤は、戦争に負けたら「南の島かどこかで一生奴隷になるんだと教えられていました」。その半藤が自らの記憶と、文学者や新聞などの記述をもとに戦後史を再現する。
「リンゴの歌」が戦前に作られた映画の主題歌だったとか、当用漢字は戦後の「民主化」の一環で漢字を制限したとか、マッカーサーがどんなに日本人に愛されていたか(離日には20万人が羽田で見送った)とか、全くしらなかったことばかりだ。
圧巻は東京裁判やその後の右旋回の詳細な過程の描写だ。アメリカ政府に振り回されながら、経済を最優先にした吉田茂がユーモラスに描かれている。いわゆる55年体制の成立をめぐる政治家たちの駆け引きも手に取るように描かれていておもしろい。現在の鳩山首相のじいさんが憲法改正、再軍備、対米依存の解消をめざしたことを考えると、孫の由紀夫はそれを復活しようとしているようにも見えてくる。

これが連続講演会の再録というのもすごい。よくこれだけ理路整然と話せるものだ。公式な歴史ではなく、ジャーナリストが自分の目と足でとらえた戦後史という感じがでている。講演ならではの口語体も、この本の魅力のひとつだ。

高校ではまず第二次世界大戦以降は教えないから、せめて大学で現代史を教える必要があるのではと、自らの無知を振り返って思った。

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