それでも現美に行く
東京都現代美術館は遠い。木場の人里離れた公園の端にある。行くのに勇気を要するが、『レベッカ・ホルン』展と『ラグジャリー:ファッションの欲望』展が始まったので二つ見られるならばと出かけて行った。
レベッカ・ホルンはベネチアで今回より少し小粒の展覧会を見たばかりだったので驚きはなかったが、機械仕掛けなの妙に人間の本質に迫るような造形は刺激的だ。自分には影を使った「ペソアのためのハート・シャドウ シネマ・ヴェリテ」などが特におもしろかった。いわゆる映像作品は、映画をいつも見ている自分には退屈で5分と見ていられない。
女性を売り物にしていないのも好感が持てるけど、現存の作家でわざわざ日本で大きな個展をやってあげるほどのものかなという疑問は残った。ちょうど『機械仕掛けのオレンジ』のようなコンセプトの古さも気になった。
『ラグジャリー』展の方は、前半の18世紀のフランスを中心とした宮廷のドレスと20世紀初頭のポワレやヴィオネ、そして60年代から現在までのファッションが似たテーマや素材別に並んでいておもしろかった。キャプションを見ないと時代がわからない時もあった。特にマドレーヌ・ヴィオネのドレスの流れるようなフォルムに心が動く。
後半のマルタン・マルジェラとコム・デ・ギャルソンの展示は、それに比べて単調でつまらない。特に建築家の妹島和代が展示デザインを担当した部分のコムデの衣装は、透明プラスチックの乱反射で衣装が見にくく、最低。コムデの部屋に入ってすぐの、マネキンに着せた普通の展示の方がずっとよかった。
ともに来年1月17日まで。
こんな遠くに美術館を作ったのは鈴木俊一元都知事だ。彼の字で書かれた「東京都現代美術館」という石碑が建っているのはほとんど知られていないが。もしこれが有楽町の東京国際フォーラムの場所にあったら、東京は何倍も魅力的な街になっただろうと思うのは私だけだろうか。
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