新書『航空機は誰が飛ばしているのか』は単純明快
もともと飛行機に乗るのが好きなので、JALの経営問題だって気になるし、羽田に国際線を増やす計画などのニュースも追いかけている。しかし単に滑走路を増やせばいいのではないことが、新書『航空機は誰が飛ばしているのか』を読むとよくわかる。
書いたのは轟木一博という30代半ばの運輸官僚(今は国土交通省)。実に明快で、目から鱗の思いだ。まず空港の発着回数は、単純に滑走路の数に比例しないという。平行に並んでいるか、時間ごとの風向きはどうか、近くに空港があるかで全く違うらしい。
東京の場合、羽田―成田は60キロ離れており、そのほかにも横田、厚木、入間などの基地があって、そもそも過密地帯らしい。飛行機の「車間距離」(!)が最低3マイル(5.6キロ)から5マイル(9.3キロ)ないとダメらしく、成田と羽田の滑走路を増やしてもあまり発着数は増やせないようだ。そもそも羽田に滑走路を増やすのには、1兆円以上かかる。
最近延長されたばかりの成田のB滑走路と、来年できる羽田の4本目の滑走路でとりあえず精一杯のようで、この筆者は近さが生きるアジア便を羽田にまとめるべきだとしている。それらをリニアモーターカーでつなぐ提案もある。
国際線は成田か羽田かという議論は意味がなさそうだ。当面はどちらも使うしかない感じだ。
かなり専門的な議論もあるが、論旨は明快なので言いたいことがよくわかる。正面から「国益」を考えるこうした本を、若手官僚はどんどん書いてほしい。
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