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2009年11月16日 (月)

新書『航空機は誰が飛ばしているのか』は単純明快

もともと飛行機に乗るのが好きなので、JALの経営問題だって気になるし、羽田に国際線を増やす計画などのニュースも追いかけている。しかし単に滑走路を増やせばいいのではないことが、新書『航空機は誰が飛ばしているのか』を読むとよくわかる。

書いたのは轟木一博という30代半ばの運輸官僚(今は国土交通省)。実に明快で、目から鱗の思いだ。まず空港の発着回数は、単純に滑走路の数に比例しないという。平行に並んでいるか、時間ごとの風向きはどうか、近くに空港があるかで全く違うらしい。
東京の場合、羽田―成田は60キロ離れており、そのほかにも横田、厚木、入間などの基地があって、そもそも過密地帯らしい。飛行機の「車間距離」(!)が最低3マイル(5.6キロ)から5マイル(9.3キロ)ないとダメらしく、成田と羽田の滑走路を増やしてもあまり発着数は増やせないようだ。そもそも羽田に滑走路を増やすのには、1兆円以上かかる。
最近延長されたばかりの成田のB滑走路と、来年できる羽田の4本目の滑走路でとりあえず精一杯のようで、この筆者は近さが生きるアジア便を羽田にまとめるべきだとしている。それらをリニアモーターカーでつなぐ提案もある。
国際線は成田か羽田かという議論は意味がなさそうだ。当面はどちらも使うしかない感じだ。

かなり専門的な議論もあるが、論旨は明快なので言いたいことがよくわかる。正面から「国益」を考えるこうした本を、若手官僚はどんどん書いてほしい。

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» 読後評:「航空機は誰が飛ばしているのか」 期待した切込はなく、売りはマニアックさ(笑) [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
先日、「アジアのハブ空港が韓国仁川空港となったのは国交省の失政か ハブ空港とハブ港を日本に取り戻せ」という記事を読んだことで(2009-11-09)、さらに羽田国際空港化の議論にさらに興味をもったので、この本を手に取ってみた。 著者は、轟木一博氏。 「国土交通省大臣官房人事課長補佐」で現職なので、非常に専門的な一方、あまり当初の目的(上記の記事タイトルのような)にはそぐわない内容であることが、読んでいるうちにわかった。 「鉄ちゃん」がいるように「航空機マニア」は間違... [続きを読む]

受信: 2009年12月 7日 (月) 05時26分

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