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2009年11月30日 (月)

東京フィルメックス:その③クロージング

東京フィルメックスが終わった。受賞結果はグランプリと観客賞が韓国映画「息もできない」、審査員特別賞がイラン映画「誰もペルシャ猫を知らない」。フィルメックスの閉会式というか授賞式に出たのは実に久しぶり。

10年目ということで、簡素ながらも落ち着いた気持ちのいいクロージングだった。しかし最後にディレクターの林加奈子氏が「20年目を考えるとまだ折り返し地点、100年目を考えると第一歩でしかありません。映画の明るい未来を信じて、私たちの夢は続きます」と言ったのはどうかと思った。何だかこの映画祭だけが映画を救う、という感じで宗教じみている。東京国際映画祭もだいぶ良くなって、いくつもの作品がどちらにあってもおかしくないくらいになったので、お金のないフィルメックスは今後埋没しない方法を考えた方がいい。
ここ10年で映画を見る環境は確実に悪化している。シネコンが4割から8割に増え、アート系の映画はほとんど当たらなくなり、輸入されない話題作も増えた。この状況の改善にフィルメックスは何か役に立ったのか。数百人の映画オタクを育てるだけでは、「映画の明るい未来」は開けない。回顧上映で言えば、メルヴィルをやるよりヤスミン・アフマドやキム・ギヨンをやる東京国際の方が世界的に見れば確実に先を行っている。
映画祭のディレクターは世界的に見て普通3~6年くらいだろう。10年たった今、そろそろ考える時かもしれない。

賞の結果は予想通り。『息もできない』は見ていないが、映画祭の始まる前からすごいという話を聞いていた。『誰もペルシャ猫を知らない』は、『酔っぱらった馬の時間』などのバフマン・ゴバディにしては軽いドキュメンタリータッチの小品だが、テヘランの街の風景の描写など随所に繊細なシーンが見られる。子供にギターを教える先生が、子供たちに目をつむってギターを弾く真似をさせるシーンなど秀逸。

クロージング上映は『サースト 渇き』。パク・チャヌクらしいグロテスクでハチャメチャな映像で楽しめた。しかし私などはクロージングでこんな映画を上映したら普通のお客さんが逃げちゃうのではと心配してしまう。オープニングの『ヴィザージュ』ほどではないけれど。あるいはフィルメックスのオタクファンはこれでいいのかな。

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