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2009年11月28日 (土)

目まいのする小島信夫の遺作

2006年に亡くなった小島信夫の遺作『残光』が今度文庫本になったので買った。まさに「老人力」という言葉がぴったりな自由自在の内容に目まいがして頭がくらくらした。

老小説家が身辺を語る「私小説」なのだが、そう簡単ではない。過去の作品、過去のできごと、そして記憶などが自由に立ち上り、現在とつながっている。ボケて施設にいる妻、その前の最初の妻、アル中の息子、そして保坂和志などの友人の小説家や編集者たちとの奇妙なやり取り。あるいは読売新聞の連載や文化功労章や自らの名をつけた文学賞の発足。そうしたすべてが一つの文章に切れ目なく紛れ込む。読んでいる自分もどの時代にいるのかもわからなくなるような不安定な設定だ。意識の流れに任せて時空を彷徨う90歳の小説家に翻弄された。

最近は本を読むのが妙に早くなったが、この小説はとても時間がかかったうえ、読み終わってもまだ終わっていない感じだ。

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