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2009年11月 4日 (水)

漆塗りのように美しい河口龍夫

文化の日で竹橋の国立近代美術館が無料ということがわかり、『河口龍夫展 言葉・時間・生命』を見に行った。この規模で見れば、芸術家の本当のところがわかるからだ。結果から言うと、どの作品も磨き抜かれた工芸作品のように美しかったが、関係とか時間とか種子とかの彼の抽象的なコンセプトの力が、いまひとつ切実なものとして伝わってこない気がした。

どの作品も端正で見応えがある。ボルトで閉じられた鉄の箱も、日本の地図が盛り上がる緑の黒板も、多くの缶の上に種子を一個ずつ置き鉛で固めた作品も、7000粒の蓮の種を真っ白の板にびっしりと並べた作品も。
見ていると本当に美しいのにあるいは美しいがゆえに、訴えるものがあまりにも自明で問題を孕んでいない気がした。少し前に国立新美術館で見た野村仁のような狂気はあまり感じない。どこか現状肯定的な楽観性を感じてしまった。

彼は長い間筑波大学で教えていたけれど、こういう現代美術作家はいったい大学で何を教えるのだろうか。京都芸大で教えていた野村仁もそうだが、素朴な疑問です。

河口展は12月13日まで開催。

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