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2009年12月 2日 (水)

『沈黙のファイル』に震える

10年以上前に話題になった『沈黙のファイル 「瀬島龍三」とは何だったのか』を初めて文庫で読んだ。共同通信が地方紙向けに配信した連載の単行本だ。読みながら戦前から戦後にかけての日本の闇の部分に震えた。
瀬島は戦時中に大本営の参謀として活躍した後に11年もシベリアに抑留され、帰国後は伊藤忠で活躍して政財界の黒幕となる。

最初に驚くのは、戦後のインドネシアや韓国に対する賠償ビジネスだ。アジア諸国の戦争被害に対して、日本の損害賠償は日本の商社経由で現物供与の形で行われた。中でも伊藤忠は巨額の利益を得た。その裏にいたのが瀬島だ。いろいろな方向にワイロが飛び交う。スカルノ大統領はその代表だが、当然デヴィ夫人も出てくる。
防衛庁への航空機売り込みに関しても、大きな活躍をする。次第に田中角栄や金丸信のブレインを経て、最後は中曽根康弘の臨調に入って政治の表舞台に出る。そういえば、東京国際映画祭の組織委員長までやっていたはずだ。その頃ある友人がイラン映画祭をやろうとして協賛企業を探していたら、瀬島を紹介された話を思い出した。

瀬島と関係ないが、シベリアに抑留されたエリートのうち何人もが戦後の日本でソ連のスパイとなった話にも驚いた。

しかしもっとも心に残ったのは、第二次世界大戦を止められなかったのが、日本独自の稟議制によるものだという指摘だ。トップダウンでないため、課長クラスが案を作る。陸軍省や参謀本部の若手の一部が流れを作ると誰も止めようとしないめ、満州事変が起こり、真珠湾攻撃まで進んだという。特に2.26事件以降はクーデターによる恐怖が上層部を覆ったという。
戦後の日本も若手官僚の支配は変わらない。誰も責任をとらずに無駄な予算が増えていった。民主党の言う「政治主導」というのは、とりあえずそれにメスをいれるだけでも意味がある。日本の風土でどこまでできるかわからないけれど。

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