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2009年12月29日 (火)

近代のセックス幻想

川村邦光氏の『聖家族の誕生 セクシュアリティの近代』を文庫で読んだ。ずっと前に買っていた本だが、年末の掃除で手前に出てきた次第。江戸時代から明治時代に移る際に西洋の性科学が入り込んで、性に対する考えが変わり今日に至るというもので、ちょっとおもしろかった。

江戸時代は「ほどほど」を説きながらも男女の愛と性をひとつながりのものとして肯定的にとらえていたが、どうも明治以降、「恋愛」という概念がはいり、性は「肉欲」として抑圧されていったようだ。性行為が全人的な結びつきから、「性器の結合」に収斂されていった感じである。そこで処女性が大事になったり、自慰が禁止されたり、あるいは夫婦間でも過度に及ぶと病気になり仕事もできなくなる、といった俗説が氾濫する。この本はそうした例を雑誌などから丁寧に拾っていて読んでいて実におもしろい。

この本は戦争中の母性愛の宣伝の部分で終わるが、さて現代はどうなのだろうか。川村氏にはぜひ現代の分析をして欲しい。かつて『平凡パンチ』のグラビアや『11PM』などの夜中のテレビに胸をときめかせた僕らと現代の若者はすいぶん刷り込みが違うとは思うが。

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