泰正名画を読み解く術
印象派以降の西洋絵画はわかるけど、それ以前のものはいま一つヴェールに覆われた感じでわからないと思っていたけれど、便利な本を見つけた。木村三郎著『名画を読み解くアトリビュート』。
「アトリビュート」とは、属性と言うか、持物のようなもの。例えば手に薔薇の花を持っているとヴィーナスをあらわすらしい。確かに最近日本に来たウフィッツィ美術館のティツィアーノ作<<ウルビーノのヴィーナス>>も右手に薔薇を持っていた。
聖母マリアには百合の花があり、マグダラのマリアには香油壺がそばに描かれている。こんな具合に「犬」「鏡」「オリーヴ」といったアトリビュートが58も並び、具体的な絵画の写真とともに説明がある。わずか167ページの本だけど、こうした約束事を知っていたら西洋美術の理解が急速に進む気がする。たぶんこれまでにも「イコノグラフィー」とか「図像学」とかいう題名で分厚い本はあったような気がするけど、このコンパクトさは貴重だ。
たぶん日本画にもそうしたシンボル群があるのだろうな。
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