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2009年12月10日 (木)

『三池 終わらない炭坑(やま)の物語』に涙する

2006年に公開されて話題になっていたのに見逃していたドキュメンタリーをようやく見た。ポレポレ東中野の「映像の中の炭鉱」特集の一本だが、平日の3時20分の回で何と満員だった。

作品のできもさることながら、自分の生い立ちに関わる映画だったこともあって途中から何度か涙が出てしまった。まず19世紀末から囚人を使っていた事実に驚き(彼らが朝晩鎖をつけて歩く音を覚えている老人がいた)、次に朝鮮人から中国人、最後は欧米の捕虜まで使っていたということに腰が抜けそうになる。
朝鮮から連れてこられてそのまま大牟田に住んでいる老人が「言いたくなかったが、言ってスカッとした」と笑う。あるいは老いた中国人がやってきて全く給料ももらえなかった事実を話す。
そして1960年の三池争議から1963年の炭じん爆発。組合の人も、第2組合の人も、三井側の人も今は老人だ。みんなが当時の思い出を克明に語る。ある老婆が「九大の向坂逸郎教授は我々をモルモットのように思っていたのでは」と言っていたのが妙に心に残った。
21歳で爆発にあってから一言も話せなくなったCO患者が今も生きている。あるいは重い後遺症を抱えた夫を持つ妻たちの闘い。
大津幸四郎氏のカメラは話す老人たちにすーっと寄って、いつの間にかいい表情を映しだす。炭鉱の歌を歌う老人の顔。もう敵も味方もない。土本典昭の水俣シリーズで見せたあの魅惑的なカメラだ。

終わってから監督の熊谷博子さんが、撮影時の苦労について話した。7年かかったという。撮影は計110時間。地元大牟田での上映は途中から鳴き声があちこちで聞こえて、終わると涙涙だったらしい。

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