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2010年1月22日 (金)

『テレビの青春』の静かなおもしろさ

年末に森達也氏の『放送禁止歌』と小林信彦氏の『テレビの黄金時代』という昔のテレビを扱った本をここに書いたが、また同じような本を読んでしまった。去年出た今野勉氏の『テレビの青春』だ。
いまはテレビを見ないくせに、1960年代後半から70年代末まではテレビばかり見ていたせいか、昔のテレビの話は大好きなのだ。

今野氏の本はしょせんはサラリーマンの話なので前2冊ほどの迫力はないが、それでも静かなおもしろさというか、時代の雰囲気が伝わってくる。
特に出だしが印象に残る。1959年という日本のテレビ元年にTBSに入った今野氏は、すぐに「一億総白痴化」という世論に悩まされたという。そしてその言葉の起源を執拗に調べる。これは『何でもやりまショウ』という番組から起こったことで、評論家の大宅壮一が反応したという。彼が言ったのは「マスコミの白痴化」という言葉だ。どうも「一億総白痴化」というのは、それらの報道を受けて松本清張が言ったらしい。これは知られていないのではないか。
そういうわけでテレビ局に入ったインテリたちは最初から悩み、『dA』という同人誌まで作っている。まるでこれでは松竹ヌーヴェルバーグと同じではないか。テレビ創成期の人々の意識の高さに驚いた。
その後の話は1960年代末にTBS闘争があり、TBSを飛び出してテレビマンユニオンという制作会社を作って、彼らは成功者となった。だからあまり読んでおもしろいものではない。

個人的な話だが、なぜかこのおじさんたちとは少しだけ接触があった。今野氏からは、ある映画のスチールを借りる件で連絡があったが、テレビマンユニオンの社長秘書からの電話で、正直言って感じが悪かった。個人の文章で使うのに、なぜ本人が電話してこないのかと思った。萩本晴彦氏は、ある小さな勉強会で話を聞いた。ジーンズ地のコートの下に高級な紺のジャケットを着込み、使い古したルイ・ヴィトンのバッグを持ったさまは、なんともカッコよかった。小澤征爾との話とか、内容も少し調子よすぎたので、すいぶん幸せな人だと思った。村木良彦氏とは、ある仕事でもめて若造の私が彼を呼びつけて怒るということをやってしまった。もう15年近く前のことだ。会社の上司の指示とは言え、いま思うと本当に恥ずかしい。

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