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2010年1月23日 (土)

計算しつくされた映画はおもしろいか

最近見た試写で、よく計算された映画だなと思うものが2本あった。今月30日に公開されるアメリカ映画『パラノーマル・アクティビティ』と2月20日公開の行定勲監督『パレード』だ。全くジャンルもタッチも違う映画だけど、観客をどう乗せるかを徹底的に計算している点が、妙に気になった。ちなみに結末はなぜか似ている。

『パラノーマル・アクティビティ』は製作費135万円で作ったことを宣伝文句にしているくらい、チープな映画だ。素人が自宅のベッドにビデオカメラを設置して、そこに写ったものが実は……という話で、実際見始めるとこれが話題作かと拍子抜けがするくらい、アマチュアの映像だ。観客はそこに奇妙なリアリティを感じ、映像を信じ始める。そしてカップルが暮らす21日間の映像を見ているうちにだんだん自分がそこにいるような気になり、ちょっとした物音にも驚く。そして恐怖はどんどん高まってゆく。
観終わって考えるとたいしたプロットではないのだが、素人っぽい映像からいくつもの小細工まで実にうまい。一般向けの試写だったが、観終わると観客から小さな笑いがいくつか起きた。騙されちゃったよ、という感じの苦笑だと思う。

それとは逆に、『パレード』は最初から玄人芸だ。アパートに同居する奇妙な男女4人組み。そこにまぎれこむゲイの少年。現代社会を象徴するような風景を、そのあいまいな雰囲気を伝えるようにカメラが執拗に舐めまわす。これが現代の若者だよ、と言いたげな結末。おもしろかったけど、そのしたり顔な演出に途中で興味がそがれていったのも事実だ。こちらの映画は計算が裏目に出たように思えたが、どうだろうか。

少し前の朝日新聞の朝刊には、公開中の『今度は愛妻家』は行定監督の大衆路線のA面で、この映画が本人がやりたいB面だと書かれていた。僕には両面とも計算する対象をちょっと変えただけにしか見えないのだが。

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