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2010年1月15日 (金)

『アバター』は本当におもしろいか

話題の『アバター』をようやく見た。とにかくみんながほめるので期待して日劇に行ったが(日曜夕方で満員だった)、実は不満が残った。おもしろくないとは言わない。特にナヴィの国の造形の美しさ、繊細さはすばらしいし、特にくらげのような空を舞う生物や空を舞う大きな翼の鳥、巨大な木など見ていて何とも気持ちがいい。

しかしなぜあの結論なのかと思う。最近の大半のSFがそうであるように、民族間の争いが結末に来る。鬼軍曹との一騎打ちでは、単なる戦争映画のドンパチではないか。
すばらしい生き方をしているナヴィの人々をあれほど魅力的に描きだせたのだから、自然の力が集まって不思議な力で地球人の繰り出す軍事力に勝つようなストーリーと造形は、いくらでも作ることだできたはずなのに。

政治的なメタファーも、あからさま過ぎる。インディアンを征服した白人を、あるいはベトナムや最近ではイラクやアフガニスタンに侵入したアメリカ人をカリカチュアで表すようなような地球人たち。あれではイラクに行ったアメリカ人も怒るだろう。それ以上にナヴィの人々の表情や化粧や動作は、アフリカ文化を馬鹿にしていると思う。アフリカでこの映画がどう受け止められるか聞きたいくらいだ。
ナヴィがアフリカ的な世界だったせいか、地球人側は全員白人だった。これもいまどきどうか。

雑誌はもちろん、目を通したすべての新聞がこの映画を絶賛していた。朝日や日経では外部の著名な映画評論家がほめていた。誰も文化的な背景を考えないほど映画馬鹿なのか。あるいは映画界のために3Dを応援しようとでもみんなで決めたのかな。ところで私にはこの映画は3Dである必要はあまりなかったように思えた。そもそも3D映画に意味があるのかもまだ自分にはわからない。

文明論的というか文化人類学的な、あるいは政治的な批評を読んでみたい。

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