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2010年1月19日 (火)

『ニューヨーク、アイラブユー』またはオムニバス映画の現在

10人の監督がニューヨークを描くオムニバス映画『ニューヨーク、アイラブユー』をの試写を見た。2年ほど前に見た『パリ、ジュテーム』と同じプロデューサーだから続編のはずだが、日本での配給元が違うし、パリ編があまり当たらなかったこともあってか、別物として売り出しているようだ。

パリ編の時も思ったが、10人は多すぎる。一人10分では、それぞれの個性が出る前に終わってしまう。パリ編に比べると、全体をつなぐようなショットがある分、一貫性が感じられるがそれにしてもめまぐるしい。もちろん、おもしろいシーンはある。イヴァン・アタル監督の、イーサン・ホークが美女を何とかくどく場面はおかしいし、ファティ・アキン監督の画家の話は痛切だ。
それでもこの映画に途中で飽きてしまう最大の理由は、「ニューヨークらしさ」が感じられないからかもしれない。『パリ、ジュテーム』もあまりパリらしさがなかった。『パリところどころ』のような時代ではない。世界が均一化し、パリやニューヨークにユニクロや無印がある時代だから、いまさら都市の物語は際立たない。そのうえ一人に20分や30分与えるのではなく、たった10分では都市の特性は出てこない。
たぶん配給権を各国に売る時は、パリやニューヨークの設定と数名の監督名でうまくいくが、実際の各国の配給ではあまり当たらない映画かもしれない。

映画のクレジットの最後で「次は『シャンハイ、アイラブユー』ということが書かれていた。パリ、ニューヨークの後は当然東京かと思ったが、もう中国に追い越されたらしい。2月公開。

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