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2010年1月 9日 (土)

山田詠美の『学問』に我を忘れる

年末の本屋で、山田詠美という名前と『学問』という題名の取り合わせがおもしろくて買った小説だ。帯に「私ねえ、欲望の愛弟子なの」と書かれていたのも引っかかった。
地方の田舎に生きる4人の少年少女を描いたものだが、その語りのうまさに我を忘れて読んだ。

小学校から高校までの仲良し4人組の日常が淡々と描かれる。読んでいるうちに、ああこうだった、そうだそうだ、と自らの記憶が蘇ってくる。
彼らはみな1962年生まれなので、私とほぼ同世代。「ドクター・ペッパー」という飲料が一部地域で発売されていたことなど、細部が渋い。考えてみたら作家の山田も同世代だ。まだ高度成長が信じられた時代の幸福な少年少女時代のなんとも甘美な日々だ。
特に、少女の性への目覚めをここまでみずみずしく書いた小説を初めて読んだ気がする。何とも素直で嫌みがない。
全体を4章に分けて、4人の死亡記事を各章の冒頭に持ってくるやり方もうまいとしかいいようがない。小説全体に死の影が忍び寄る、不思議なサスペンス。山田詠美は天性の小説家だ。

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コメント

僕の友人に、村上龍のSM作品を研究しているラトヴィア人の女性がいるんですが、
(彼女はネイティヴ並の英語とロシア語を話します)、彼女によると、
漢字の少ない山田詠美作品は、漢字の多い団鬼六作品よりも、遥かに読みやすいそうです。

投稿: マサユキ | 2010年8月21日 (土) 02時12分

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