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2010年2月25日 (木)

『ガラパゴス化する日本』に唖然

少し前から「ガラパゴス化」という言葉を聞くようになったと思っていたが、その元祖の一人、吉川尚宏氏が書いた新書版の『ガラパゴス化する日本』を読んで、唖然とした。あまりにも当たっているからだ。
一言で言うと、今の日本はちょうどガラパゴス諸島のように独自の進化を遂げてしまい、世界に全く通用しない製品やサービスばかりになってしまったことを指す。だから日本の製造業の多くは国内市場のみを相手にしていて、人口が減る一方の日本は尻すぼみに向かうという。

その典型的な例が携帯電話らしい。iモードなど世界で最も進んでいたのに、GSM方式に乗り遅れて全く世界市場に入れなかった。世界をリードしているのは、ノルウェーのノキアや韓国のサムスンで、日本はスェーデンの企業と合弁で作ったソニー・エリクソンのみが小さなシェアを持つ。
ICカードや電子マネーもカーナビもデジタルテレビもみんなそうらしい。
製造業ばかりでなく、国内のみを相手にしている病院や大学や金融市場も空港もそうと言う。日本の医療のレベルは高くても、外国人が英語で診療を受けられるところはないに等しい。大学も同じ。確かに私が勤める大学の入試でも、日本語がヘタな中国人や韓国人は優秀でもまず通らない。
別府にある立命館アジア太平洋大学というのは例外で、日本語ができなくても英語で授業が受けられ、4年間のうちに日本語も学ばせるシステムで、外国人学生が半分もいるらしい。この例は朝日新聞でも最近読んだ。
若者の海外留学は減り、どんどん内向きになっている。外国映画が当たらないわけだ。若者は草食系とも言われるが、ガラパゴス諸島では草食動物ばかりらしい。

この本には今後の日本のシナリオが9通りも書かれている。すなわち脱ガラパゴス化をするか、総ガラパゴス化となるか。後者の場合は、企業は衰退する国内市場にしがみつき、国は外資や外国人の招致に消極的で、日本人は静かに閉じこもって生きてゆく。
実際はその中間あたりを彷徨うのだろうが、別府の立命館やトヨタみたいな例外もあるのは事実なので、出島のような経済特区を作るという筆者の提案は意外に悪くないと思う。日本人全般が脱ガラパゴス化するのは無理だろうから。
私個人は英語で授業をしてもいいかなとちょっと思ったけど、実際は大変だろうな。

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