奥田英朗のテロ感覚
1年ほど前に出た奥田英朗の『オリンピックの身代金』を読んだ。昨晩読み始めて、もう読み終わってしまった。彼の小説は『サウスバウンド』や『家日和』しか読んでいないけれど、そこに出てくる反政府的な感じというか、テロを支持する感覚が好きだ。
『オリンピックの身代金』も、東京オリンピックを舞台にテロを企てる東大の大学院生が主人公。この主人公の島崎が何ともカッコいい。淡々と生きながら、冷静に政府に対して怒りを抱き、実行に移す。
国中が盛り上がっていた東京オリンピックの時代背景も何ともいえないほど魅惑的だ。この小説家と同世代の自分は、小さい頃にこの時代を感じた記憶がかすかにあって、読んでいて甘酸っぱい感じがした。
島崎がコソ泥の村田と組んで、何度も公安警察の追跡から逃げてゆく様子は、エンタテインメントとして実に楽しい。
今日一日くらいは、島崎のようなテロリスト気分を少しだけ引っ張りそうだ
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