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2010年2月 1日 (月)

『右翼は言論の敵か』に見る最近の右翼像

鈴木邦男氏の『右翼は言論の敵か』を読んだ。鈴木氏は一度現代美術のシンポジウムでその話を聞いたことがあったが、静かでもの柔らかな話しぶりに「右翼には見えない」と思った。
既に何冊も本を出している氏の文章を読むのは初めてだったが、なかなかおもしろかった。

通常言論の場が与えられない右翼にとって、街宣車が唯一の言論の方法だったこと、それを「発明」したのは赤尾敏(有楽町の演説を私は記憶している)で、その後どの政党も真似するようになったこと。赤尾敏は戦前に左翼運動をしたり白樺派に加わったりしていたこと、戦前の右翼運動家は貧困や社会の矛盾から入った人が多かったこと。長い間右翼は企業から金をゆすり、左翼は銀行襲撃などで金を集めてきたこと。
そして東西対立が終わって反共という名目がなくなり、右翼の存在意義がなくなった。企業や政党からお金が出なくなったから資金にも困ってる。右翼に残るのは、天皇崇拝とか、日本精神維持とかしかない。

最近の反貧困の動きのなかで「戦争が起こればいい」という発言があったり、ネット上の「右翼」的な発言が注目されているけれど、鈴木氏はこれには触れていないのがちょっと残念だ。

個人的には天皇も日本精神もピンとこないが、この本を読んで右翼への偏見が少なくなったのは事実だ。長い目で見ると、左翼も右翼も世の中をより良くしようと思って動いた結果で、ある意味では宗教活動も同じだろう。その中で三島由紀夫や連合赤軍のように、時おり過激な方向に走った者がいただけだ。
しかし現在の問題は巨大な資本主義なので、その前では右も左もない。対抗できるのはやはり宗教しかないのだろうか。

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