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2010年2月 7日 (日)

大学入試の怪

大学教員になって初めて入試を経験した。民間企業に勤めていた者から見ると、これは相当にヘンだ。500人の教室に20人ほどの教授や準教授が待ち構え、することといえば答案用紙や問題を配り、回収するだけ。そのあいだの1時間や1時間半はひたすら受験生を監視する。

座る椅子もなく、立ち続ける。もともと内容に関するあらゆる質問には答えてはならないのだから、なぜ教員が監視する必要があるのかわからない。実はポケットに文庫本を忍ばせて行ったが、読み始めたらほかの先生に嫌な顔をされた。

外では極寒の中、助手や助教が道案内をしている。何という非効率かと思う。こんな単純作業は、民間なら警備会社やイベント会社に任せる。その分教員や助手は研究や教育に力を費やせるし、あるいは外注した分は給料を安くすればいい。教員は試験問題を作って、1人が会場に運び込んで全体を監督をすればすむ。これではまるで、トヨタの技術者や車体のデザイナーが、ショールームに並んで買うともわからない客に車を説明しているようなものだ。

大学の教員は、サラリーマンの中ではかなりの自由な時間が約束されている代わりに、時おりとんでもない不条理な義務を負わされるようだ。それを喜んでやる教員がいるのも今回わかった。
ほかにもヘンな義務はいくつかあるが、また後ほど。

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