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2010年2月13日 (土)

『葬式は、要らない』か

先日ある方が亡くなり、お通夜と告別式を手伝った。葬儀場に立って参列者を迎えながら、自分の葬式はどうなるのかを考えていた。そんな時に新聞の一面下の書籍広告を見てすぐ買ったのが、島田裕巳氏の『葬式は、要らない』という新書だ。読んで最もおもしろかったのは、戒名に関する記述だ。

戒名料は「○○院殿□□大居士」とすると最も高くて百万円以上、「□□信士」だと十万円からという。戒名は出家した僧侶のためのものだったが、実は仏教国でも日本にしかない。また膨大な数の仏典の中で、戒名について触れた文章は全くないという。戒名が日本に定着したのは、幼名、図号、俳号、襲名といった日本に独特の「名前の文化」によるのではというのが、島田氏の説だ。
また、墓参りも仏教の教えとは直接関係ないという。墓を重視する考えは、むしろ儒教に由来するらしい。墓を寺に立てなければ、葬式をどういった形式でやろうがかまわないことになる。家の継続が難しい現代では、戒名も墓もだんだん少なくなってゆくだろうというと島田氏は推測する。

それでも葬式は残る。葬式というより、お別れの会。私が手伝った式でも、縁のあった人々が集まって故人をめぐって話がもりあがっていた。何十年ぶりにあった再会した人々も多かった。島田氏は本の最後に書く。「故人の死が、長く離れていた生者の再会をとりもつことになる。それも故人の功徳であり、遺族や参列者はその恩恵を被ることができる。一人の人間が生きたということは、さまざまな人間と関係を結んだということができる。葬式には、その関係を再認識する機能がある。その機能が十分に発揮される葬式が何よりも一番好ましい葬式かもしれない」。

ちなみに日本人の葬式費用は平均231万円で世界一らしい。イギリスは12万円、韓国は37万円、アメリカが44万円。

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