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2010年2月10日 (水)

電車と漱石

実は電車に乗るのが好きだ。地下鉄ではない。最近は職場に行くのにほぼ毎朝郊外に向かう私鉄の各駅停車に乗るが、これがいい。ひなびた小さな駅は昭和の東京がそのまま残っている。そのうえラッシュと反対方向なので、ちょっと世捨て人になった感じだ。

そういう時に思い出すのは漱石の『それから』のラストの電車のシーン。電車に乗ってどこかに消えていきたい主人公の思いが身に沁みる。

<飯田橋に来て電車に乗った。電車は真っ直ぐに走り出した。代助は車の中で「ああ動く。世の中が動く」と傍(はた)の人に聞えるように云ツた。彼の頭は電車の速力を以て回転し出した。回転するに従って火の様に焙ってきた。是で半日乗り続けたら焼き尽くす事が出来るだろうと思った>

人妻と恋に落ちた後の話で、家族から見放されて行き着いたのが電車だった。約100年前にもう電車の中の現代人の孤独を描いていた漱石は、やはりすごい。

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